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高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

その「数秒」が肝心なんです!

 全国で研修をしていると、その土地で「いい仕事」しているなぁとしみじみと胸打たれるエピソードにふれることができます。今回は長崎県諫早市でのことでした。
 諫早市は人口10万人弱で、数年前に地域包括支援センターの研修会などでお邪魔しています。今回、長崎県主任介護支援専門員研修会の3会場の1つが諫早教室だったので、いつもお世話になっている上川さんに「一度、みなさんとお会いできませんか?」とお声掛けをして実現した宴? でのことでした(医師会会長の高原先生と向かい合って飲めたのもとても楽しいひと時でした。お身体、ご自愛下さい<(_ _)>)。
 さて、そこで自己紹介のときにうかがったのが次のエピソードです。話してくれたのは、K老健で事務次長をしている谷川敦弘さんです。

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 「私が2年前に取り組んだことです。74歳の女性のCさんで要支援1でした。実はその方は、歩行が不十分で、ふらつきなどでなかなかうまく歩けないんです。そのために、家から出てすぐの反対道路のAコープに買い物に行けなくなってしまいました。その理由は信号が渡れないからです。道路の幅は10mです。Cさんは、10m歩行に12秒かかるひとでした。ところが、信号は10秒信号だったんです。つまり2秒足りない。私は考えました。信号の止まれの時間をなんとか15秒にできないか。それができれば配食サービスではなく、Aコープに買い物に行けるわけです」
 「それでどうされたのですか?」
 「早速、諫早警察署交通課で申し入れをしました。その時の対応が、びっくりでした(笑)。まずは私の住所・氏名の聴取から始まり、その応対は住民向けというよりも、交通違反者向けのような印象でした。もちろん信号の秒数を伸ばすなんて、とても無理という態度です。私は落胆しました」
 「それはつらいですねぇ。でもそれをなんとかされたんですよね?」
 「腹が立ったので、諫早署の職員家族会の介護教室にたまたま呼ばれていたので、私が講師をする機会に、くやしかったので、それを話題にしました(笑)」
 「そりゃ、すごい(笑)。反応はいかがでしたか?」
 「それはけしからん、とその場は盛り上がりました。なんとかなりそうな雰囲気もあり、一人の理学療法士の立場では限界と思い、地域包括支援センターの上川さんに相談しました。すると、上川さんなりに警察署に人脈があることもわかり、本格的に動くことになりました。それから、話はトントン拍子です。まずはその一帯の信号の調査です。仮に5秒間伸ばすためには、その一帯の車の流れにどのような支障が生まれるのか、調査をしなければならないそうです。そして取り組んで3か月後、信号が10秒から15秒に伸びたんです!!」
 「それはCさん、喜ばれたでしょう?」
 「ええ、それは!おかげで今でもAコープに買い物に行かれています」

 つまり「Cさんの買い物」という自立した生活への支援は、歩行のリハビリだけでなく、「道路の信号機の秒数変更だった」というエピソードです。私はとてもすばらしい実践と思いました。

 同様の話を、3年間の函館でも聞く機会がありました。彼も理学療法士さんで、ケアマネをやっているNさんでした。老健が母体の居宅で働いています。
 「私のケアマネ仕事の必携道具は4つあります。まずはメジャーとデジカメ。住環境の把握にはとても活躍してくれます。そして、交通事故などで交通警察官が事故現場の距離を測っている小型の計測器です。ホームセンターで1万円ちょっとで売っています。それとストップウォッチです。これが重要なんです(笑)」
 なんとNさんは、利用者宅の近くの道路幅をすべて計測し、信号の赤信号の時間を記録し、利用されているリハビリ担当の理学療法士さんに伝えているそうです。
 「これで10m歩行の訓練が、道路を渡るための訓練になるのです」
 さすが理学療法士さんと感心した次第で、このエピソードは全国で何回紹介したかわからないくらい紹介しています。

 今回の諫早市の谷川さんの話題は、「生活を支援すること」の意味と、それを可能にするためには「多職種が連携することで実現する」ことをわかりやすく伝えてくれるすばらしい実践例です。

 谷川さん、いいエピソードをありがとうございました!(^^)!
 しっかりと紹介させていただきます!!!!

ムロさんの写メ日記

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長崎県主任介護支援専門員研修(諫早会場)の最終日の記念スナップです。10日間の研修の最終日で表情もにこやか!(^^)!。実は、「夕方だと疲れもピークになり表情も笑顔になれない。化粧のノリがまだ良いうちにお願いします」というお願いもあり、昼休みに写しました

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初日はまだ空気も硬く、事例発表時に下向きばかりのBグループのみなさん。「顔を上げて目で聴きましょう」とアドバイス

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2日目の事例検討会のスナップ:「キャ~、恥ずかしい」と自分の発言に顔を赤らめるHさん。その後、とても盛り上がりました

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3日目となると話し合いにも緊張感があふれ、とても集中した事例検討会が進められました

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文中の諫早市の谷川敦弘さん。かなりインパクトがあり、そのスジ系の人でしょうか?(笑)。ナイスガイですね

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昨日、静岡県共同作業所連合会「わ」の施設長・管理者研修会に行ってきました。昼休み、代表の金刺さんと食事をしていると、共同作業所キャロットの移動販売員のふたりがやってきました

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この電動車いすの「荷台」には感動です! 毎日、雨の日・風の日も駅前商店街を売り子しているとのこと。すっかり街の風物詩になっているそうです!(^^)!

今週のメールマガジン「元気いっぱい」第219号は「思いを伝える」です。ケアタウンの公式HPではバックナンバーまで見ることができます。


コメント


 先生を囲む会に参加出来ず、残念でした。
 今から6年前?に地域コーディネートの本を読み感銘をを受け、本の中の先生と思い続けていましたが、先生の講義を受ける機会があり、本当に嬉しく思っています。今までに受けた対人援助の研修の中で一番判り易く思いました。
 あと2日間で私が疑問に思っている事が聞けたらいいなぁ~と思っています。


投稿者: ほろ酔い | 2010年03月17日 22:26

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

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