がんばれ、「認知症連携担当者」研修!
厚労省が今年度の目玉のひとつとして導入したのが、認知症対策のための「介護と医療の連携強化事業」です。地域包括支援センターに新たに「認知症連携担当者」を配置して、介護と医療が地域包括ケアシステムの名の下、認知症の人への「切れ目のない」(シームレス)医療・介護サービスを提供しようとする仕組みです。
初年度の予算計画では、全国150か所の地域包括支援センターに「認知症連携担当者」を配置して、専門医療へのつなぎから相談・アドバイス、虐待対応チームとの連携などに携わるというもの。
まさに時代のニーズにあったもので、これが発表された時は、私も「おお、本気だ!」ととても期待していました。
しかし先月の9月28日から東京の認知症介護研究・研修東京センターで始まった3日間の研修の受講者は、なんと、なんと6人との報道を聞き、「ど、どうして!?」と目が点になってしまいました。
実はこの担当者になるには、結構なハードルの高さで、認知症介護実践リーダー研修か認知症介護指導者研修の修了者というのが要件です。おそらく、厚労省としては修了した方々に、地域包括支援センターという「活躍の場」をつくる目論見だったのかもしれません。
ところが、そもそもどれほどの人が終了しているかが問題です。
私の知る介護支援専門員等で終了している方は、大手の社会福祉法人所属か医療法人所属で老健のリーダークラスの人。あるいはとても意識が高く活発に地域で活動するグループホーム実践者(経営者含む)です。それぞれに要職であったり、中心的な活躍をされているかたばかりなのです。この実態からすると、そもそもこのような重責を担う専従職員が150人も確保できる見込みがあったのでしょうか。
そして医療側の中核機関として「認知症疾患医療センター」を全国にこれまた150か所を整備して早期診断・治療を行うとしましたが、これも現時点で51か所。それも、ハードルが高いのが原因のようです。 認知症医療経験5年以上の専任医師や専従の精神保健福祉士の配置、認知症の鑑別診断の検査体制を有しているなど、理想やイメージはまことに結構なのですが、現実があまりに追いついていない。
大風呂敷を広げるのも時には目立った発信には必要でしょう。しかし、現実があまりについてこないと無力感が関係者に流れるのが懸念されます。
ましてや全国の市町村で、今年度中にどの地域包括支援センターに設置するか、その見通しも把握していないというのも、あまりに心もとないのは私だけでしょうか。
ここは、プロスポーツではありませんが、「悪い流れ」を一気に変えるような全国の市町村や全国在宅介護・地域包括支援センター協議会など、関係団体の奮起にも期待したいものです。
ムロさんの写メ日記
10月某日、日本福祉大学ケアマネジメント研究会公開事例研究会。スーパーバイザーであり進行する野中猛日本福祉大学教授。見立ての鮮やかさは、さすがです
10月某日、東京都中央区介護支援専門員等研修会の第2回目「チームケアとサービス担当者会議」の演習風景です。盛り上がりました!(^^)!
中央区の区役所前のブロンズ像
新宿御苑前の植栽のなかの銅でつくられた馬車の置物。あまりに素敵で写メしちゃいました
今週のメールマガジン「元気いっぱい」第198号は「前職多彩も魅力」です。ケアタウンの公式HPではバックナンバーまで見ることができます。
コメント
認知症連携担当者の話は新聞等でも知っておりましたが、受講生がたったの9名とは…。
私は認知症関係の研修運営も担当しておりますが、認知症介護実践リーダー研修にしても認知症介護指導者養成研修にしても、研修の目的は指導者を養成するというものであり、そこに実務者たる「認知症連携担当者」を行わせようとすることが間違いかもしれませんね。
認知症疾患医療センターについても言いたいことはありますが、長くなりますので割愛します。
ただ、認知症のケアは本当に難しく、現場職員の多くが悩み苦しんでいます。先生のおっしゃるとおり、悪い空気が一新されると良いですね。
認知症連携担当者は本当に必要なんでしょうか?
今の地域包括支援センター職員に認知症の取り組みができるようにしていった方が実践的なんではないでしょうか?
しかも、認知症介護指導者研修終了者ではなく、せめて、認知症介護実践者研修終了者にした方が、実践で働く人が集まったのではないでしょうか・…。
私は、あなたのブログや詳細な記事に同様に多くの時間を置いていることに気づいた!私はあなたがここに投稿情報の一つ一つに少し興奮する
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