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高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

チャレンジシートが浮き彫りにする

 私の研修会では「チャレンジシート」なる感想文を記入してもらっています。「アンケート」としないのは、記入することも研修という意味合いがあるからです。ですから、無記名でなく記名式です。それは、無記名だから「言いたいことが書ける」という姿勢に疑問があるからです。あくまで仕事で参加されているみなさんですから、参加の姿勢も含めて「責任」が問われると考えます。
 研修の「学びと気づき」「今後の課題」「理解度と満足度」を記名で記入してもらうことで自覚も生まれ、それが第一歩の始まりになればなによりと考えます(無記名式は主催者のほうでとるようになっていますしね)。
 さて、そこで2日間にわたって開かれた島根県主任介護支援専門員フォローアップ研修会で興味深かったシートをご覧にいれましょう。何気ない感想や反省の言葉の向こうに、いまケアマネジャーのみなさんが置かれている現実や仕事ぶり、悩み、がんばりが浮き彫りになります。

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■1日目 ケアプラン点検支援マニュアル~利用者本位の「質の向上」めざして~
○「ケアプランには本人の楽しみや生きがいを盛り込むことが大切と学びました。プランの中の抽象的な表現や四字熟語を多用していて、もっと具体的な表現が必要だと気がつきました」(S・Sさん。介護福祉士、男性)
 なかなか生きがいが盛り込めないプランになるのは、アセスメント不足かできない点ばかりに着目するせいでしょうか。四字熟語の多様に気がついたのはいいことですね。

○「1~3表は、先生が例で示したチェック前プランのように記載していました。本を参考に言葉や文章を探している自分がいました。1人ケアマネでやってきて、常に「これでよいか」と不安で、他の事業所のケアマネさんがどう書いているかと思っていました。1つずつ見直します」(M・Yさん。看護師、女性)
 1人ケアマネさんは孤独です。気持ちの負担も想像以上で、その叫びが聞こえてきそうです。包括センターの支援が最も必要な方々と私は考えます。

○「利用者(家族)へお渡しする前に作ったプランを振り返り、検証することなく堂々と世の中に出していました。恥ずかしさを感じました。見直し作業も自分だけでなく、チームでしていく必要性を再確認しました」(K・Mさん。介護福祉士、女性)
 ケアプランの検証や読み合わせをどれほどの居宅介護支援事業所が行っているでしょうか? 実感として5%程度ではないでしょうか。ケースの抱え込み・思い込みを避けるため、認定更新時のケアプランの検証(チェック)は事業所責任として行うべき性格のものと考えますが、いかがでしょうか?

○「実はケアプランに悩むたびに参考書を買い、それを真似て作っていました。なので、悩んだ別(私が…)、年代別にさまざまなケアプランができています。先生の言われたように、鵜呑みにして作っているので、つまずいたり悩んだりしたのでしょう」(A・Hさん、グループホーム勤務、看護師、女性)
 熱心な姿勢がもったいない。真似や鵜呑みは主体性を育てません。そのことにようやく気づいたA・Hさんのこれからの成長が楽しみです。

■2日目 主任介護支援専門員の仕事力~13の技術でスキルアップ!~
○「仕事の能率が悪く、記録モノがどんどんたまっていくことがストレスでしたが、今回の研修で、15分単位で仕事の段取りを考えていくと仕事の流れがよくなると教えていただき、参考になりました」(K・Mさん。介護福祉士、女性)
 仕事とは「段取り」です。記録の多さを嘆く前に、こなせるだけの力を身につける努力と工夫が大切ですね。15分ルールは、仕事をやる上でのタイムマネジメントの基本中の基本です。

○「話される内容は何度も研修会で嫌というほど聴いているのに、実践になると途中でリタイアする自分が情けないと気づきました。年齢とともに学びがおっくうになる中、よい刺激になったと思います」(N・Yさん。看護師、女性)
 40歳代~50歳代になると集中力も落ちます。その現実をしっかりと見つめ、手を打っていくことも仕事の一つですね。実は、このような悩みをもつケアマネさんが増えてきています。

○「サービス担当者会議を毎月開催していますが、今日の講義を聴いて反省しました。司会と医師とケアマネ(私)が発言していることが多かったし、他の事業所の方は発言していなかったことに気づきました。今後はみんなに発言してもらえるように工夫します」(T・Hさん。社協勤務、社会福祉士、女性)
 サービス担当者会議が一部の人ばかりの発言では、もったいないですね。みんながもっている情報を共有化するために、あらかじめ準備をしてもらってくることもマネジメントです。この気づき、大切にしましょう。

○「相手が答えやすい、受け取りやすい、わかりやすい工夫について振り返ってみたい。心を使う仕事…と言われ、グッときました」(K・Mさん。介護福祉士、女性)
 話が一方的なケアマネさんは多いのではないでしょうか? けっしてコミュニケーションが得意な人がやっているわけではないものあまり知られていません。でも工夫の仕方や勘所がわかれば、そんな方でも大丈夫です。傾聴ができる人は多いので、会話ができる、プレゼンテーションができる人がこれからの次のステップでしょうね。

 このように、チャレンジシートから透けて見えるケアマネさんたちの本音や願いをしっかりと受けとめ、「質の高い研修・講義」づくりを小生もめざしていきます!(^^)!。

ムロさんの写メ日記
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島根県主任介護支援専門員フォローアップ研修会でのスナップです。向かって私の左が菅原朋代さん、右が山口由美子さんです

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ケアタウン主催のケアプラン点検支援マニュアル緊急セミナー。総勢70名。首都圏中心ですが、東北は山形、秋田、福島、宮城から、九州は佐賀、宮崎、熊本から参加がありました

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山形県主任介護支援専門員研修会での自歴検討会の演習の様子です!

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東京の認定ケアマネジャーMさんからの写メールです。銀杏のじゅうたんが素敵です


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コメント


 島根での研修会おつかれさまでした。
先生の研修が終わった後は、事業所での研修報告に熱が入りついしゃべりすぎてしまいます。それだけ伝えたいことがギュッと詰まった研修なのだと思います。
 これからお土産に持ち帰った業務改善のポイントを一つひとつ形にしていきたいと思っています。
 今回もほんとうにありがとうございました。

 PS:最初、スナップ写真の名前が左右逆なのではないかと思ったのですが、撮影された側から考えるとこれでよいのでしょうか? それにしても恥ずかしい…。


投稿者: すがはら | 2008年12月21日 20:45

 島根の研修お疲れ様でした。オカンです。
先生のパワフルさとあの武田鉄矢のような含蓄のある言葉に圧倒されたり感激しながらの2日間でした。
 前回の研修の時に先生が言われた「五感でアセスメントして第六巻で予見する。」という言葉は今や私の座右の銘になっています。
 また、島根にきて下さいね~待ってまーす…と言うか、また、何としても講師でお呼びします。
 では、お元気で。


投稿者: 深井 | 2008年12月23日 16:06

すがはらさんへ

 熱っぽい話しぶり、ぜひとも横で聞いてみたいものですね。発見や気づきがあると、ついつい話に力が入りますよね。
 スナップ写真の件、早速訂正しました。やはりどっか変だなと小生も思ってました(^_^;)


オカンな深井さんへ

 武田鉄矢のような含蓄ある言い回しですか…では次からは説教口調で話しますか(笑)。でも彼の妙なこだわりというか博識は結構知らないことも多く好きですね。
 今回は最前面にいらっしゃったので、ついついいじられ役にしてしまってすみませんでした。
 驚いたことは(失礼)、息子さんの話題を振ったときですね。しっかり、オカンの表情になるからびっくりです。みなさん、いろんな顔を持ってますもんね。
 座右の銘ですか…先の主任介護支援専門員の研修会での小生のフレーズですね。ありがとうございます。みなさんの記憶に残るように「ワンフレーズ化」するように努力しているのですが、しっかりと覚えていて実践にもいかしていただいていると心強いです!!!
 今回の研修内容もさまざまに活用ください!(^^)!


投稿者: たかむろ | 2008年12月25日 01:44

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プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

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