限界集落~山村・農村でねばる人たち~
「地域福祉」は私の好きなテーマです。福祉がとかく制度やシステム中心に語られたり、障がいをもってしまった人や子どもなど特定の対象として語られることに違和感を感じるからです。福祉を地域!から考えることで、住民参加型の「福祉のまちづくり」ができるのだと常々思っています。
宮崎県では、昨年から「地域福祉コーディネーター」の養成が継続的に行われています。第1期で80人、今年の第2期で80人を養成しています。顔ぶれは市町村の行政職員や社協職員、施設職員、NPO法人職員、地域包括支援センター職員などなどです。4日間にわたる研修会の1日目と3日目を私が担当しています。
その縁で今回、県社協の山崎地域福祉部長にお願いして「限界集落」をフィールドワークしました。
「候補地は宮崎市から西都市に抜け、さらに車で分け入った西米良村です。車で約2時間。隣の東米良村は西都市と合併しましたが西米良はがんばってます」
人口1200人のこの村は、東米良村が合併後、みるみると村が衰退するのを目の当たりにしました。黒木村長をはじめ村民は「合併して村の名前が消えるのと高齢化で、やがて村がなくなるのなら、後者を選ぶ」と非合併で頑張っています。こんな話を聞くとがぜん西米良村への気持ちが高ぶるのがわかりました。
西米良村に入るダムを越えると、道路は一車線になりました。慣れない人なら車酔いしそうなカーブをくねくねと。やがて中心部の商店街と村役場に到着した時は、すでに3時近くでした。中心部の棚田の上にある30床の小規模特養「天包荘」の吉良施設長に案内され、目的の限界集落に向かいました。
道路はハイエースが一台通るのが精いっぱいの幅です。もちろんカーブだらけです。まるで渓谷をドライブするノリ。こんなところに人が住んでいるの?と思わせるに十分な道のりです。
「この山の上のほうにも1世帯住んでますよ。それとこの奥に2世帯が。しばらく走ると見えますから」
「あ、あった…!」
到着した集落は5~8戸程度ですが、空き家ばかりで、10年後には廃村になるのでしょう。店も何もない。わずかな田んぼに畑だけ…。
ちょっと下に降りて、小学校の廃校に立ちました。卒業作品なのでしょう、ブロックには永遠の友情をうたった希望の言葉が刻まれています。そのブロックも苔むして、往時の様子を偲ばせるだけです。
「ここはなかなかきついですが、西米良全体では人口が増えているんですよ」
実は、子どもたちが結婚して帰ってきているといいます。保育園も活気が戻っているとも。黒木村長が県内外の子どものホームステイを受け入れる企画をぶちあげたり、とにかく「新規事業」の立ち上げを熱心に行っている成果が働く場をつくり、子どもたちの「出戻り現象」を生んでいるようです。
あきらめることなく、くじけることなく、「地道にねばる」精神を西米良にみた思いです。
ムロさんの写メ日記
廃校となった公舎
ブロックには「友情」「希望」などの文字が
限界集落です。上のほうの2軒は空き家
ベニヤ板が打ちつけられた家
「認知症でもだいじょうぶ」町づくりキャンペーンで優秀賞をとった大牟田市に行ってきました。男性が池田課長、女性が認知症ケア研究会代表の大谷るみ子さん。詳細は今週のメルマガ「街なか見守り隊」をお読みください<(_ _)>
大牟田市の介護タクシーを後ろから写メしました
今週のメールマガジン「元気いっぱい」第152号は「街なか見守り隊~大牟田市の挑戦~」です。ケアタウン総合研究所の公式HPケアタウンの公式HPでも見られます。
※施設向けメルマガ「ケアコム」第5号が先週、発行されました。
コメント
先生、お元気ですか? こちらはめちゃめちゃ雪が積もりました!初雪にしてはかなりの量です。
限界集落…頑張ってみえるんですね。こちらではすぐに、近所や地域で施設入所をすすめる方向になりがち。メルマガの見守り隊も児童中心で…徘徊の方々は地域の方にお世話になると家族がもう入所やな…という方向になってしまうのが現実で。
大牟田市の取り組みすごいですね。何か私達もできることはないのかな…すごく考えさせられました。来月はまた岐阜での主任ケアマネ研修!千本ノック健在ですよね!
お体に気をつけて
くさかさんの描いて下さった似顔絵見たいです!
kobajunさん
お久しぶりですね。昨日から山形市に来ています。途中の米沢市は雪でした。今週のブログにお楽しみの似顔絵も登場です。
また全国からホットなエピソードをお届けしますね。
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