B級の力
先週の土曜日のことです。晩秋の富士を左側に見上げながら到着した駅は「富士宮」。
全国、さまざまな駅に降り立ってきましたが、これほどに「静かな」な駅前は初めて。いえいえ、決してさびれているというわけではありません。むしろ商店街には洋傘屋や呉服屋、金物屋が軒を連ねて商売になっているわけですから、いまどきの「シャッター通り」ではありません。落ち着いた雰囲気といえば、ご想像いただけるでしょうか。
「来週、富士宮市に行くんですよ」
「じゃあ、焼きそばを食べてくるといいですよ」
「えっ? そ、そうなんですか?」
何人からお勧め?の言葉があったことでしょう。富士のすそ野で「焼きそば」とは、これいかに。宇都宮はギョーザ、高松はウドン、熊本は馬刺しのように「ご当地名物」数々あれど、焼きそばと富士山はちょいとミスマッチでした。
早速、お出迎えのA保健師さんに尋ねると「ええっ(笑)、全国B級グルメコンテストで2年連続のチャンピオンに輝いたんですよ」。サッカーでいう2部リーグでトップに立ったわけですね。
ところがあまりにミスマッチ。どうして?溶岩の上で焼くなんてのが富士宮流なのかなと、いただいたパンフを読み、お話をうかがうことに。
「富士宮市には、昔からたくさんのやきそば屋があり、今風ならお好み焼き屋です。古くは『洋食屋』と呼ばれていたそうで、その数は70軒ほどです」
大阪風にいうなら、駄菓子屋に鉄板一枚のお好み屋があるようなもの。しかし、この麺に注目し、まちおこしを仕掛けたのが「やきそば学会」(なんと焼きそばを学問にしようって話です)だったのです。
研修終了後、無理をお願いして、浅間大社向かいの屋台村風やきそば屋さんへ。
「富士宮の麺は少し硬め。それは蒸した後に強制的に冷やし、油で表面をコーティングするからです。だから麺にコシがあり、硬めの食感が大きな特徴です」
なるほど。焼きそば通を自認する私も、麺もさることながら肉カスと青ノリならぬ「だしこ」のふりかけにグ~!!でした。この味には花マルをあげたくなりました。
もともと地場の普通食であった焼きそばを名物に仕立て上げることで、なんと220億円近い経済効果があったといいます。
おでん、ラーメン、ホルモン焼きなど、せいぜい高くても1500円程度でしょう。だからB級グルメには、けっしてA級にはなれない親しさと庶民っぽさがあります(そして悲哀も)。
でもB級に人生を賭ける職人やこれを愛する普通の人々、そして街があります。
B級には庶民の「力」が宿っている(ちょっと大げさですかね(^_^;))。
ムロさんの写メ日記
富士宮の浅間大社向かいの焼きそば学会直営店の前で記念写真。中にはTV特番B級グルメ大会の写真が。写っているのは、元気いっぱいのおなじみB級系(失礼!)タレントさんたち。やはり顔ぶれにも意識したラインナップでした
研修会場から富士山を望む。こんなに近くで眺めたのは、もしかすると初めてかも。この雄大なお山に抱かれながら育つと、東京暮らしなんてとてもしたくないだろうなとつくづくと思った次第です。
マンガ「ヘルプマン」の作者くさか里樹さんとのケアコム対談のために、出版社の講談社に。マンガ雑誌イブニング編集部の前で記念写真。実は麻生首相に負けず劣らずのマンガ大好き?少年ですので、マンガの編集部の前に来ると違った意味で舞い上がってしまいました。
今週のメールマガジン「元気いっぱい」第150号は「老老介護~俺は溺れている~」です。ケアタウン総合研究所の公式HPでも見ることができます。
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