「おくりびと」を描いた人
先日、映画「おくりびと」を観ました。モントリオール国際映画祭でグランプリを獲ったので、静かなブームに一気に火がついたようです。
この映画の主演は本木雅弘(小林大悟役)。2000万円近いチェロを購入した苦節ン年のチェロ奏者が、ようやくメンバーの一員となったオーケストラが突然の解散となり、失業。泣く泣くチェロを下取りに出し、失意のまま、妻とともに山形の故郷に戻ります。無職の彼は、偶然手にした求人チラシ「旅立ちのお手伝い、日給い高給」の文句にひかれ、納棺師の会社のドアを叩きます。
納棺師とは、亡くなった人に死化粧(病院ではエンゼルメイク)と死装束(お遍路さんの姿が一般的)をして棺に納めるまでを業としている人です。かつては家族が行っていたのが、今は葬儀屋が行うのが一般的。
大悟は、友人・妻からの冷たい目に晒されながら、いくつもの「納棺」に関わる中で、「仕事とは、人生とは、生きるとは」に向き合います。
妻を亡くし、開口一番に「遅いぞ!」と怒鳴った喪失感いっぱいの夫(山田辰夫)から、帰り際に不器用ながらも心からの詫びと感謝をされたり、バイク事故で娘を亡くした父親が娘とつるんでいた不良達に殴りかかる場面に遭遇したり。
その中で納棺師の仕事に「意義」を見出し、一歩ずつ成長していく姿が丁寧に描かれます。
私は20代のある時期、映画シナリオや演劇の世界に少し関わる機会がありました。ですから、小山薫堂の初脚本の完成度と納棺師という職業への「視線」に、いささか驚かされました。
それは実に「普通」に描かれているということです。この手の映画では「お葬式」(故伊丹十三監督)がありました。これは葬儀とその遺族の物語でした。どのドラマでも納棺師などは特異な存在として描かれがちですが、この「おくりびと」では違いました。
「死ぬとは究極の平等です。この映画が、人間として生まれた『普通』を見直すきっかけになればいいなと思っています」と彼は語ります。
この視点の謎は、脚本家のプロフィールを読んで納得です。彼は放送作家として、あの「料理の鉄人」(93~99年)をヒットさせました。食の世界では黒子であった厨房の料理人たちに光をあて、「オモテ」に出した功労者だったのです。
この番組以降、多くの若者がきびしくとも料理人の世界を目指すようになっています。
この映画のように、介護やケアの世界が、もっと「普通の視線で描かれる」時が来ないかと、心待たれるのは私だけでしょうか。
せっかくの機会です。ビデオでなく、スクリーンでご覧になる事をおススメします。
ムロさんの写メ日記
岡山県施設長・管理職研修(1日目)の様子です。みなさん、チャレンジシートを記入中です
私のおなじみのランニングコース。もうすぐ秋も深まり枯葉のじゅうたんとなります
岡山の全日空ホテルのフロントです。ちょっと間抜けな?カボチャ
今週のメールマガジン「元気いっぱい」第146号は「『おくりびと』という仕事」です。ケアタウン総合研究所の公式HPでも見れます。
※施設向けメルマガ「ケアコム」は第4号が発行されました。
コメント
先生、お元気ですか?
忙しかった連休も終わり、相変わらずの日常を送っております^^
連休の前日のひととき、有難うございました。Aさん、Wさん、Sさん、Nさん有難うございました。
先生の久々の?研修楽しかったです。有難うございました。最後まで聞けなかったのが残念です。
「仕事術」真っ先に読んだのは!整理整頓の術!
眠くなったら、整理整頓!なんだかみょ~にやる気出ちゃってます。書類の簡素化なんていいこと? 言ってくれるじゃん!と思いきや……
よーく考えると、あまり変わってない!やはり自分達で工夫するしかないのかな、と思う今日この頃です。
「おくりびと」まだ見てませんが、絶対見ようと思っています。このテの映画好きなんです。
内容は違うかもしれないけど、先日「おくりびと」のようなケアマネになりました。突然利用者さん亡くなられて…ご家族と一緒にお体綺麗にさせていただきました。
ターミナル期の方で、次の日変更申請出して受診もする予定だったんですが。最終的には家で過ごせたからよかったんですとご家族から言われて。いろいろと考えさせられました。
ちょっと今回はしんみりしてしまいました。すみません!秋のせいでしょうか?
今月末には素晴らしい紅葉を見に山へ行きます!先生もお体に気をつけて、全国各地の紅葉見て下さいね!写真とって送りますね~^^では!!
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