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高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

ケアプランチェック、やってます?

 この7月11日に厚労省老健局から「ケアプランチェック支援マニュアル」が全国の都道府県に通知されました。これは昨年度、介護保険適正化事業の一環として年度末までに出されるとリリースがあり、関係各位から「どんなもんやろう?」(ちょっと関西弁で)と注目を集めていたものでした。
 総ページ約100頁(A4サイズ)という堂々たる文量です。現場の介護保険課や地域包括支援センターの方々がどのような感想を持たれているか、政令指定都市や知り合いの方々にヒヤリングしました。
 「とても具体的で使いやすい」「業務の振り返りに質問形式がわかりやすい」と好感する向きもあれば、「これを形式的にやられてしまうと現場はたまらない」「保険者や地域包括支援センターの力量が問われますね」という、歓迎しつつも先々の不安や事態の推移を心配する声ありのようです。
 この中身の論評については後日にするとして、介護予防プランでも今も続く「ケアプラ点検(チェック)」という言葉への「嫌悪感?」について考えてみたいと思います。

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 みなさんの事業所では、ケアマネジャーが利用者(家族)の方へ提示をする前に「事業所のケアプラン」としてしっかりと協議、あるいはケアプランチェックされていますか?
 「まさか担当ケアマネジャーの裁量に丸投げなんてことはないでしょうね?」
 ケアマネジャーの研修会であえて問いかけると、100人の参加者で約1割程度は「うちはやっています」と手が挙がります。ではその他は…? バツの悪そうな表情で、おたくは? えっやるものなの? という無言のコミュニケーションが交わされるのを感じます。

 ここでちょっと視点を変えてみましょう。
 ほとんどのメーカーは、私たちが購入する(ここが肝心!)消費財を必ず「検品作業」を行って出荷しています。消費者としては当たり前のこと(偽装であっても、それなりに。いや、バレナイためにもっと慎重かも?)。
 つまり、検品作業をするから不良品を事前に見つけることができるわけです。消費者に迷惑がかからないようにリスクマネジメントすることで、企業の看板(信用)を守っていることになります。
 さて、みなさん。検品作業をしていない食品や家電品を買いますか? もしそのような商品が店頭に並んでいたら、即刻不買運動を始める急先鋒に立つ人もいるのではないでしょうか?
 では、同様のことがケアマネジメントやサービス提供で起こっていないでしょうか?
 私はみなさんのケアプランが不良品と決めつけているわけではもちろんありません。ただ、利用者(家族)の方々にとって「わかりづらい」「こんなはずじゃない」と思われても仕方ない「日本語的に妙な表現」が散見されるプランをみることがあるからです。
 そのプランを「使い勝手が悪い。このプランは不良品だ」と利用者(家族)の方から指摘されて、どれほどの方々がちゃんと反論できるでしょうか?
 事業所として、専門職として、ケアプランに自信があるならチェックされることに神経質になるはずがありません。行政の素人にわかるはずがないと思っている人がいるなら、利用者(家族)の方々はもっと素人ではないでしょうか?
 利用者(家族)の方から文句や苦情を言われたことがないと胸を張るなら、これも考えものです。利用者(家族)の方の中には、何をどう言っていいのか分からない人もいるからです。「こういうふうにわかりづらいものらしい」と広い心?で受けとめてくれているのかもしれません。
 なにせ1割負担なしですから、「無料」でここまでしていただいてありがたいと思っている人もいるかもしれません。
 事業所でのケアプランチェックは抱え込みを防ぎ、「磨き」をかける大切な作業です。また、ケアマネジャーそれぞれのリアルタイムなミニ研修会の場です。
 ・利用者(家族)にわかりやすいか
 ・個別サービス計画が作りやすいか
 ・利用者(家族)の自立支援になっているか
 事業所として「評価の軸」を決め、まずは提案前の「ケアプランチェック」のルール化から始めてはどうでしょうか?

ムロさんのデジカメ日記
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京都の東福寺(臨済宗)の達磨大師像です。う~ん、味わい深い!! 何か見透かされているような(笑)

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コメント


 言われてみればごもっとも。一般企業では当然ですよね。
 社外へ提出する書類についてはすべて上司が目を通し、チェックするのは…そんな当然? のことも現事業所では何も考えられません。自分自身についても先輩が、これまでのやり方が、だってだって…こんなもんかな?と。
 ケアプラン支援マニュアルも先生のセミナーで目にし、その後、県からメールで3回に分けて送付され、ダウンロードはしたものの、パラパラめくって「なんか?すごい!」とそのままです。
 日々のお勉強が追いつきません…皆さんはどうやって情報を集め自己研鑽されているのでしょうか。


投稿者: gunnmachann | 2008年08月25日 21:14

・・・・(>_<)
 耳が痛い、胸もチクリのブログです。自分だけの価値観で独善的にならないようにしなければ… そして、他の人からのチエックを真摯に謙虚に受け止める器も持ち合わせたいものですね。
 『ケアプランチエック支援マニュアル』を今読ませていただいてます! 具体的な質問形式でわかりやすいです。これをまず自分のプランを振り返るものにしたいと思います☆


投稿者: ひまわり | 2008年08月25日 21:44

gunmachanさんへ
 そうなんですよね、一般的に社外に出す大切な文書は上司のチェックを通すのが一般的です。
 私はチェックというより、事業所内で一度、ふるいにかける作業をすることで、利用者(家族)の状態を全員が共有することができるし、ケアプランもより磨かれたものになると思うからです。
 その際に注意したいのは、一方的な批判や独善的な決めつけ、一人よがりです。
 「利用者(家族)を尊重したケアプラン」「チームケアの視点に立ったケアプラン」を事業所みんなの総意でつくる…。
 まずはこのすぐにできる「試み」を始めてみる事業所が生まれることを期待します。

ひまわりさんへ
 ひまわりさん、正直な感想をありがとうございます。耳が痛いと思われている人は多いかなと思いながらの一週間でした。リアクションがないと、今回は心配でした。
 まずは耳は痛くとも、私の真意を汲み取っていただけるケアマネジャーの方は多くいると思っています。
 思えば制度3年目に、ケアプランの利用者交付とモニタリング月1回訪問という指針の改正に、全国から「これ以上私たちを忙しくするのですか!」という怒りに似た声が上がりました。
 あの時つくづく、どうして当り前のことに怒る人たちがいるのか不思議でした。今ではみなさんのなかで、それは利用者本位のケアマネジメントでは当たり前のことになっています。

 利用者(家族)の代弁者・伝え手でありたい…これも、私のもう一つのスタンスです。
 またご意見、くださいね。


投稿者: たかむろ | 2008年08月28日 22:39

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

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