オトコの介護 再考
今週、横浜と埼玉で「性差介護」について話す機会がありました。埼玉はさいたま市介護支援専門員協議会の総会で、横浜は南区虐待防止事業従事者研修会(ケアマネジャー、包括、民生委員等)を交えた研修会でした。
冒頭、「このテーマは結構勇気がいるんです」とお話しします。「準備に1年間かけました」とも。その理由は、性差を取り上げることで性差別を助長する、あるいは「男だから、女だから」と決めつけ・思い込みを誘導すると考える人がいるのでは?という不安があったから。とくに、聞き手は女性の方が8割ですから、気をつかいながら話すようにしています(もちろん2割の男性にも(^_^;))。
介護保険が始まった当初は「女にばかり介護をさせるな」のフレーズはとても新鮮で、説得力あるものでした。子育てへの父親の参加と同様、男性たちが介護を担うのは時代の流れで当然のことなのに、トーンは今ほどではありませんでした。
それから8年。当時「7人に1人」の男性介護が「4人に1人」となったという事実は、何を意味しているでしょうか。
ようやく介護の世界でも男女共同参画型になってきた!とするのが順当な理解でしょうし、そのことは社会的にススンダことといえます。が、そのために生じてくるであろう「新たな問題」を予知・予見していく必要があると思います。
その代表格が「男性介護者による虐待ケース」です。そして、介護疲れからくる「介護心中」です。これらを困難事例で片づけるのでなく、家族社会学や性差、そして世代論などから光を当てることで、具体的な手立てが見えてくるのではないでしょうか。
私なりの持論もあわせて、相談援助職のみなさんにメッセージを送っていきたいと思っています。
当日のチャレンジシートです。
「男性でもできると思い込み、相談にのっていた部分や安易にサービスにつなげていた。性差に限らず、相手に近づくことができるよう相談にのっていたと思うが果たしてそうだったか」(K.Mさん。ケアマネジャー、看護師)
「男性の考えの土台が女性とは違うという点をあらためて考えました。女性からだけの視点ではなかなか見えない部分が学べました」(K.Mさん。ケアマネジャー、社会福祉士)
「女性の特徴、男性の特徴により、介護の仕方が違ってくることに気づきました」(民生委員 女性)
ムロさんのデジカメ日記
先日、全国訪問ボランティアナースの会(通称 キャンナス)代表の菅原由美さんに会いに行ってきました。本部は神奈川県藤沢市で、(有)ナースケアーで訪問看護・介護、居宅、デイを展開しています。今のケアマネさんの現状と今後について本音トークで盛り上がりました。
近所で見つけた不思議な物体。思わず写メしちゃいました。「近くのプロパン屋さんからダンナがもらってきてね。製作にひと冬かかったみたい」とは60歳代の奥さんの談。もちろん素人作品です。
ケアタウン総合研究所の今週のメールマガジン「元気いっぱい」第128号は「共感と同情の違い」です。
コメント
「性差介護」…これからもっともっと、考えていかなければならないことですね。
アセスメントする際に、先生の仰っておられるように「家族社会学や性差、そして世代論」を考えていかないと、「男だから、女だから」という、自分に知らず知らずの内にすり込まれている価値観で安易に決め付けてしまうことになってしまっては、絶対にいけませんね。気をつけないと…
雑誌の記事に「企業をリストラされ、親の介護をしている50代男性。生計は妻のパート収入」というものがありました。
もし、自分がケアマネとしてこのご家族にかかわるとしたら…
自分自身をバージョンアップして、援助職として支援できる力量を身に付けたいと思いました。
いつか、先生の性差マネジメントの研修を受講させていただきたいです(^^)。
介護支援専門員の基本的姿勢に「非審判的態度」というのがあります。
なぜ、このことをあえて言う必要があるか…それは、審判的態度になりやすいからです。その代表格が「性差」です。
違いを見つめる、尊重することは個別ケアの大前提。ケアマネジャーさんの8割近くが女性ですので、「男はこうなんです」と伝えることも、男歴50年(^_^;)の私の役割のひとつかなあと思います。
それはそれとして、「そうだったんですね」「ようやく夫のことが理解できました」との感想に、実は男性がわかったつもりで知らないこと、わからないと悩んでいる女性の相談援助職がいるということ。これも発見ですね。
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