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高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

聴く側の楽しみ方

 前回は講演する側の楽しみについてお話ししましたが、今回は「聴く側の楽しみ」について書きたいと思います。
 私自身、受講する側になる時があります。正直、受講するほうが楽しいですね。それは、「知らないこと」がわかるからです。知っていたことが「別の角度から学べる」こともありますね。なるほどなぁ~と感心することも多くあります。

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 さて、どうしてこんなテーマをわざわざ書くのかというと、ここ1年間、ケアマネジャーの研修会が膨大かつ連続していて、実に「研修漬け」(どんな漬け込み方でしょうか? 糠漬け、塩漬け…押し漬けなんて書いたら、ちょっとお叱りを受けるでしょうか)状態なので、小生なりの受講するコツをお伝えしたいと思った次第です。

 「今日は全然眠くなりませんでした」という感想をよく頂戴します。それはそれで正直ホッとしますが、「今日は…」というフレーズがいつも気にかかるのです。もちろん講師の側の責任は大いにあるでしょうが、聴く側の方の準備や態度、あるいは姿勢にもあるんじゃないかなと、あえて書きたいんですね、これが。
 まずは受講にあたり、それなりの予習や心の準備をされてきたのかということです。身体一つでやってきて、とにかく聞かないといけない、更新できないでは、まるで某更新(運転免許の更新講義がそうです。関係者の皆様方、<(_ _)>です)研修と同じではないでしょうか。
 
 では、どうすれば退屈な講義でも(講師の方、<(_ _)>です)、それなりにおもしろく集中して聴けるでしょうか。

 第1は、たとえ自分にとって繰り返し聞いた話、わかりきった話でも(これはこれで結構傲慢な話ですが)、「この話は誰に役に立つだろうか」と推察しながら聴くと、案外とおもしろく聴けるものです。あるいは、どのレベルを対象に話しているのだろうかとか。やたらむずかしく、高い?(何が高いのかはご想像におまかせます)レベルっぽく話したがる講師さんもいますしね。
 第2に「どうしてつまらないんだろう」と考えながら聴くことです。これは結構勉強になります。話の構成や話し方(声、間、早さ)、話す態度…講師の方は謙虚かつ一所懸命で印象は悪くないのに、慣れないためにずいぶんと苦労されている方がいます。これはホントにもったいないですね。
 第3は「私だったらこう話すのに」と、ツッコミながら(笑)聴くことです。これはかなりアクティブですね。案外、人の話しぶりに、自分を振り返るヒントが隠されています。たとえ話なんかは、「よし、ネタの収穫一丁!」なんてすぐにメモして、利用者さんと話したり講師をする際に使えばよいと思います。別に講師は芸人や作家さんではないのですから…要は、それぐらい貪欲に聴く姿勢をもちましょうという提案です。そうでないと研修会の2~4時間がもったいない!ですからね。

 自分にとってつまらないなと思っても、せっかくの時間を早く終わるのを「待ちの姿勢」で後ろ向きに聴くのか、ひとつでも役に立てようと前向きで聴くのかでは「時間の価値」が違います。
 どんな講演もきっと得るものは必ずあります。意味ある時間にするもしないも、やっぱりみなさん自身の「姿勢」にあります。
 
ムロさんのデジカメ日記
 島根県に向かう機上から「遥か雲海」を眺めながら、思わず撮影しました。
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 3月、沖縄研修の際、懇親会場となった沖縄料理店のトイレの壁です。郷土のヒーロー具志堅用高がセンターで両手を振り上げていました。そこで教えてもらった沖縄プラス思考の言葉が「なんくるないさ」(「なんとかなるさ」の意)。
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コメント


 『どんな講演もきっと得るものは必ずあります』の先生の言葉に、「親の小言と茄子の花は千にひとつの無駄もない」と母がいつも話していたことを思い出しました(この諺、最近はあまり使わないかも…)。
 せっかくの貴重な受講のチャンス。講師先生や研修の企画のせいにして、自分でつまらない時間にしてしまわないようにしなくちゃ!
 私が受講する際に、自分だったら…とおきかえて考えることのひとつに、研修会全体の運営について事務局の進行や説明の仕方などを確かめながら受講しています(講義は勿論?ちゃんと聴いています!)。
 こういうイメージを自分の中にすり込んでおくと、いざ研修会を企画する際の参考となります。学ぶチャンスはあらゆるところにあるのだと改めて感じました
 そして「雲海」…絶景ですね!


投稿者: Noriko | 2008年04月16日 21:40

Noriko さんへ

 学ぶチャンスもネタもたくさんあるのに、それを見過ごしているのはもったいないことであります。そして、いろんな知識や教養を身につけておくことは、対人援助職としてもとても大切という話題をひとつ。

 昨日、ある社会福祉法人の職員研修の第1日目でした。「その人らしさ」を引き出すアセスメント技術がテーマ。その際に参加者の方に「趣味」を尋ねました。ある女性が「社交ダンスです」との回答。職員のみなさんもエッ?という軽い衝撃が走りました。「みんなには初めて言います。もう2年間やっています」

 さてさて、これからです。
 「では同じ趣味を持つ人とはどれくらいおしゃべりできますか?」
 「そうですねぇ、2~3時間は大丈夫です」「なら、全く知らない人とは?」
 「1分ですかね(笑)。むしろ話しませんね」とのリアクション。

 ここなんですね。社交ダンスを知っている人なら、その方らしさを、その話題から引き出すことができるわけですね。

 ながながと書きましたが、やはりケアマネジメントについても常日頃から知識を蓄える努力は必要ですね。
 たとえば講師の方が話す内容の基礎的知識がないと、たいていは「つまらない」「チンプンカンプン」になりがちです。わからないなら、それを後で埋め合わせるくらいの努力が専門職には必要と思います。

 それさえもすぐに忘れるのが常ですから、メモ帳に書き残すのがよいと思いますよ(小生もいつも心がけています。記憶は駄目です。記録上手になりましょう)。

 まずは小さなことから…ですね。


投稿者: たかむろ | 2008年04月17日 15:48

 ケアマネ2年生になり、難しさをひしひしと感じている今日この頃です。
 対人援助技術の大切さをかみ締めながら、自分自身の人間性を磨かねばと、福祉以外の分野のこともかじったりして、なかなか味のある毎日です。
 興味のなかったことも、知識が増えるにしたがって講義も面白く感じられたり、隣で居眠りしている人に「もったいないなあ」と感じたり、予習して受講すると、講義を楽しみ、ものにする?ためには有効だと思います。
 と言っても、昼過ぎの研修は眠気との戦いになってしまうのですが…(=_=)!


投稿者: ruu | 2008年04月20日 12:35

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

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