虐待と家族
最近、虐待をテーマとした研修を依頼されることが増えてきました。
今年に入り、横浜市栄区(専門職・ケアマネジャー・民生委員・地域住民の方々が対象。地元CATVも)に加え、愛知県豊橋市では昨年の施設虐待に続き、今回は在宅の高齢者虐待がテーマでした(包括職員、ケアマネジャー、訪問介護の責任者の方々およそ70名)。
そして先週は、京都市包括センター職員(96名)が対象です。
冒頭、次のようにを申し上げます。
「虐待は、発見だけでは事後対応が中心になります。起こらない、起こさせない防止・予防の視点から、どうすればよいのかを一緒に考えましょう」
昨年度は虐待防止法の施行もあり、発見事例が急増しました。その多くはケアマネジャーやヘルパーの方々ですが、中には本人からの訴えもありました。
しかし、今年度は低下していると聞きました。もちろんそれが、実数として減っているならよいのですが、もしかすると隠している、ケアマネジャーのかかわりが減っているためとするならば、「潜在化」しただけかもしれません。
この間の調査から、虐待をするのが「男性介護者」(約6割)に多く、被害者は「後期高齢の女性」であり、「認知症」になると急増することが明らかになってきました。
この調査事例をもとに
・どうして男性介護者がそうなるのか
・どうして後期高齢の女性に集中するのか
・どうして認知症となると急増するのか
を、受講者の皆さんと一緒に読み解いていくわけです。男性介護者については、前回のブログ「性差アセスメント」に書きましたが、もう一つキーワードとなるのが、「家族」と「介護ストレス」の関係です。
家族社会学では、現代家族の「変容」を実に具体的・歴史的に浮き彫りにしてくれます。特に山田昌弘氏(東京学芸大学教授)の指摘はわかりやすく、「家族の非解消性」と「非選択性」からくる「家族であることのジレンマ」と「介護ストレス」が合わせ鏡のように重なります。
家族であることの「良さと面倒さ」、家族であることの「期待と現実のズレ」… そうしたことが目の前にさらけ出され、逃げ場もなく、やり場もない家族という名の介護者。そこに、介護知識や技術・家事力のなさ、さらに認知症ケアの知識や技術のなさが「拍車」をかけ、ゆっくりと、時には突発的に「虐待」という行為・状況に至るのかもしれません。
「虐待の芽」はどの家族にもある… 予防・防止のためにも、介護ストレスの視点がますます重要になります。
ムロさんのデジカメ日記
小生愛用の移動バッグ「健太くん」4号(一番手前)。普段から書類や資料が多いので使っています。2泊程度の出張まで対応してくれる優れモノ。羽田空港のリムジンバスに乗り込む前の孤独な(笑)ワンショットです。
山形県寒河江駅に向かう列車の中に貼ってあった「受験生お得パック」のポスター。地元上げて応援しているほのぼのした雰囲気が伝わってきます。外はドカ雪?が舞っていました。
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コメント
先生、お元気そうで何よりです!
最近は小さな町でも虐待事例が出てます。
私達ケアマネは、なんとかくいとめることができるよう、日々介護者の方との話を傾聴する2時間訪問などのお宅もあります。小さなことでも、虐待をくいとめることができるきっかけになればと思います。
27日から最後の主任ケアマネ研修行ってきま~す。今すごい雪なんで、汽車?が動くか心配…(目立つので、今回から「ひだ」をローマ字「hida」にしてみました)。
流氷の来ている氷点下の網走から栗原です。
2月、日本介護支援専門員協会全国大会に参加します。発表もするので…大阪の実家にも顔出せるかな…
ところで、北海道医療新聞社の介護新聞から連載記事を頼まれてしまいました。なんとテーマは「ケアマネジャーが元気になる処方箋」だそうで「そりゃ、高室先生にたのまなあかんのんちゃう?」と思ってしまいました。
週1回、毎週原稿締め切りに追われるのかな?でも、やってみたいと思っています。大阪大会でお会いできるとうれしいなあ。
hida こばじゅんさんへ
虐待は「加害者も被害者」の視点が大切です。哀しい事態にいたらないように支援チームでできることはなにか。「予防」の視点が大切になってきます。
栗原さんへ
網走からありがとうございます。大阪の全国大会には小生も参加します。気軽に声をかけてください。連載の話、すごいですね。いいと思います。
書くことで、メッセージを届けることで、学ぶことも多くなると思います。それにネタ探し(^^ゞに一生懸命になって、あらたな発見をすることも増えると思いますよ。
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