TPPについてPart3
ふーさんが顔に乗せていたタオルを取って、口を開いた。
ふーさん「じゃ、なんで日本が守ってきた、安心や安全を犠牲にしてまで、政府はあんなにTPPに参加したいのじゃ?」
ばび「それには普天間問題でギクシャクしてしまった日米関係を、TPPでアメリカを喜ばせて、修復したかったのです」
ふーさん「バカでね~の。ノーと言えない日本!」
ばび「ほーんと、ハワイでのAPECで参加表明した野田首相の満面の笑み。心から嬉しそうでした。かもネギ首相。国会では野田首相自身がTPPの内容を全く知らなかったまま参加しようとしていたことが、野党の追求でバレてしまいました」
ふーさん「あははは」
ばび「有事には、日本はアメリカに守ってもらうつもりだから、なかなかノーとは言えないのです。韓国が米韓FTAで不平等条約を結ばされたのも、北朝鮮との有事にアメリカに守ってもらう弱みがあるからのようです。軍事的力関係で、沈み行く泥舟と言われるアメリカ経済界との運命共同体の道を選んでしまった」
ふーさん「『バスに乗り遅れるな!』か……」
ばび「そういえば、今の厳しい円高ドル安もアメリカに追い風です。アメリカ自身は関税を撤廃しても、ドル安だから輸出は伸び、輸入はそれほど伸びません。オバマさんは『TPPで輸出を2倍にする』と宣言しています。それに対して、日本はアメリカ側の関税がなくなっても、円高では関税撤廃のメリットは軽く吹き飛んでしまいます。オバマさんの強気な発言の根拠は、円高ドル安政策を維持していれば、日本からの輸入は防げて、輸出の大幅な伸びが期待できるのです。日本はどうするかというと、輸出が伸びず、アメリカでの現地生産を増やして行かざるを得ず、国内産業の空洞化と国内の失業の増加になります」
ふーさん「ふ~ん。なんか、話が難しくなってきたな」
ばび「そうですね。とにかく、今の世界は投資家というギャンブラーたちによって暴走してしまっているのですよ。ギャンブラー天国です。ボキャブラ天国ではありません。ウォール街から起こった、99%の貧しい人々の占拠運動も、世界各地の先進国に飛び火しています。共産国が強かったころには、東西の緊張関係が暴走の歯止めになっていました。TPPは多国間自由貿易協定ではなく、日米ブロック経済協定なのです。中国は排除されていますし、賛成派には中国の参加を期待する意見もありますが、しょせんギャンブラーの望みです」
ふーさん「……」
ばび「あ~、やっぱりぱぴぷぺ温泉最高ですね!」
ふーさんはぶくぶくぶく、と顔ごと水面から沈んでしまった。
ばびは、浮かんできたふーさんに言った。
ばび「しかし野田総理のTPP参加表明のあとに反対派の民主党議員が『ほっとした』と言ったのです。野田総理が『TPP参加します』と言わないで『TPP参加に向けた協議をします』と言いかえたことで、矛を収めているのです。『参加なら離党する!』とまで言ったのなら、『議員生命をかけたらどうなんだ!』と言いたいですね。韓国国会では反対派は催涙ガスを撒いたのですよ!」
ふーさん「ばびさんは直情径行な傾向が……」
ばび「何言っているんですか。元暴走族でしょう! その腕の傷」
ふーさん「ま、そうだな。人のことは言えないか。あはは」
ばび「あはは」
2人は少々のぼせてきたので、ジェットバスを出て水風呂へと向かった。
コメント
野田首相が、TPPの内容を完全に把握していなかったのがばれたときは、みっともなかったですね。日本はアメリカに上手くのせられて、TPPに参加させられようとしているのですね。そこには、軍事的力関係と経済の関係があるのですか。また、円高ドル安によるアメリカの輸出量を増やす、オバマさんの思惑もあるのですね。お勉強になりました。ふーさんって、元暴走族だったのですね(笑)
ふーさんは、ぐれて暴走族をやっていた頃があったのですが、真面目に働かないと行けないと思い、会社に就職したのですが、上司とうまくいかずに退職して、好きだった熱帯魚のお店を始めたのです。けっこう軌道に乗るまでは苦労したようです。
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