TPPについてPart2
温泉の駐車場に着いて、ふーさんがサイドブレーキを引いて、2人とも車から降りて、ぱぴぷぺ温泉の入口へ向かった。自販機で、タオルと入場券を買って、のれんをくぐり、裸になって、2人でぬるい湯で寝転べるジェットバスに入った。ばびは大きくのびをして寝転んで、ふーさんの方を見ると、手を浮かせて気持ち良さそうに目をつぶっている。
ばび「ぼくが受けている精神科治療の1割負担の自立支援医療だって非関税障壁として、風前の灯なのです」
ふーさんはゆっくりと目を開け、ばびの方に顔を向けた。
ふーさん「ヒカンゼイショウヘキ?」
ばび「TPPの最大の問題点で、相手国内の保護制度をグローバル企業が貿易の障壁だと訴えれば、その国の主権を超えて除くことができるのです」
ふーさん「あ、なるほど。それでTPPで日本の国民皆保険も混合診療に変わるんだな」
ばび「そうなんです。だからアメリカの車を輸入するのに、日本の厳しい排ガス規制やエコカー減税がジャマなら除くことができるし、アメリカモンサント社の遺伝子組み換え農産物の表示義務もなくすことができるし、日本では禁止されている農薬を使用した農産物も輸入できるようになります。今の日本では『遺伝子組み換え大豆不使用』とか明記されていますが、なくなってしまうでしょう。BSE牛だって拒否できなくなります。もちろん日本は放射能規制がゆるいですから、アメリカの厳しい放射能規制がジャマだと思えば撤廃させて、汚染農産物や汚染魚介類を輸出することも可能になります」
ふーさん「あははは。安全より、とにかく安ければいい!」
ばび「ま、汚染食品がアメリカで売れるかどうかですが。日本の汚染生産物がどれほど海外から嫌われているのかということに、日本の人は全く無頓着です」
ふーさん「なーるほど」
ばび「貧乏な人は安全を犠牲にした安いものが買えますし、安全が保証されたものは高嶺の花となって、金持ちのものになるでしょう」
ふーさん「な~るほど」
ばび「日本の国内商品は、アメリカ産の生産物との間で安売り競争を強いられ、更なるデフレが進み、給料は下がり、失業者も増えるという訳です。また小泉首相時代に流行った『勝ち組負け組』や『自己責任』という言葉が復活することでしょう。政府は長いデフレに苦しんで疲れきっている国民に『更なる国際競争に打ち勝て!』と言っているのです」
ふーさん「厳しいことじゃな……」
ばび「『農業は守る!』と政府は言っていますが、もう1年近く福島の原発被災農民に自助努力を求めて、何の法的整備もしない放置プレイで、どれほどの説得力があるのでしょう。『TPPはすべての関税の完全撤廃』なのだから農家への日本政府の補助金などは、非関税障壁として指摘される可能性が高いでしょう。アメリカでも小規模な生産者はTPPに反対しています」
ばびは「ちょっと熱く語りすぎたかな」と、目をつぶってタオルを取って顔に乗せた。
コメント
食の安全の問題は、テレビで見た街頭インタビューで「高くても安全な国産を買いたい」という声をよくききました。少数派みたいですが、「オーストラリアのジャポニカ米でもかまわない」と言った人もいました。
消費者は、最初は慎重になるから、日本では禁止されている農薬を使用した農産物は、いくら安くてもすぐに飛びつく人は少なくて、やはり安全な国産を買いたがると思います。安全が保障されないものは売れないと思います。
でも、その後はわかりません。佐野さんが書かれたとおり、安全が保障されたものは高嶺の花となって、金持ちのものになるのかもしれないです。
放射性物質の検出された食物は、外国の方が遥かに敏感です。日本人は冷静なのではなく、汚染食物に慣れさせられただけだと思います。刺激が強すぎるとかえって鈍感になるものだと思います。
そのようにTPPで今の日本では危険だと思われている食物が身近にあふれるようになると、慣れてしまうのかもしれません。それを怖いと思うのは、今の多数派ですが。マスコミの宣伝やいろいろなことで、鈍感になって行くかもしれません。
まず第一波として、ハワイのDNA組み替えマンゴーの輸入が解禁になりましたね。まだ今は「組み替え食品」の表示義務はありますが。
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