統合失調症は遺伝するのか?part2
統合失調症者同士で結婚して子どもが統合失調症になった人を知っている。「それ見ろ! 遺伝した」と言われそうだが、この子どもの小さい頃を知っている。統合失調症の母親は、泣きじゃくる赤ん坊を床に投げつけようとして、周りの人たちに止められたことがある。十分な虐待環境である。虐待環境で育つと統合失調症の他にも、元々の複雑性PTSDから発展して、さまざまな精神障害になることが多い。
複雑性PTSDとはDSMでは俗に、「パーソナリティ障害」などと呼ばれている。また、解離性障害や摂食障害なども、虐待と関連が深い病気と言われている。
統合失調症の人が結婚することはとても喜ばしいことなのだが、残念なことに子育てには向いていない人も多いことも、認めないといけない。ぼくだって、息子が小さいときには、言うことを聞かない息子を叩いていたものだ。
息子の初めて経験した、大ぜいの社会である幼稚園の先生から、ぼくは言われた。「おたくのお子さんはお友達を叩いて、仲間に入ろうとしません」。それで虐待の連鎖を初めて気づいて、叩くのを止めた。子どもは叩いて育てられると、「人を叩いてもいいんだ」ということを学ぶ。思いどおりにならない子どもにキレる自分に恐怖した。しかし母親である波津子が踏ん張ってくれたおかげで、息子は落ち着いた大人に育った。
ちなみに『愛は惜しみなく奪う』と言われるが、愛情と甘えと依存とは、互いに境界線がなく、区別がつきにくい。子煩悩と言われ、子どもと同じ目線でつばえ合い、じゃれていたぼくの場合は、それははたして愛情だったのだろうか? 子どもに甘えていたのだろうか? それとも子どもに依存していたのだろうか? 家庭とは互いに奪い合う闘争の場なのだろうか? もう大学生になった息子とは、用事がなければ、滅多に口をきく機会もない。息子との間に、反抗期にはけっこうぶつかっていたのに、いまは本音トークなど無い。親子って普通そんなものかもしれないけれども、向こうから寄ってくるのは、「お金をくれ」と言うときばかりだというのも、寂しい話でもある。
健常者の子育てだって周りの手助けなしにはうまくいかない。だから病気の人が親となって子育てをするなら、さらにきめの細かい周りのサポートは必須だ。身内でも他人でもいいから助けないと、病気の親による子育ては悲惨な結果になりかねない。児童養護施設だって、満杯かもしれないが、気軽に利用できるようにしてほしい。うなぎのぼりの子どもの虐待件数(隠されていたものが表沙汰になってきただけかもしれないけれど)に対応できるように、児童相談所や養護施設に国ももっともっと予算をつぎ込んでほしいものだ。
さて、ぼくを虐待した母親もある意味病気持ちだ。精神科に連れて行けば、神経症の診断がつくかもしれない。もちろん母もそのまた母から、虐待を受けていたのだが……。
もちろんこれを読んだ病者の母親が子どもを産むことをためらったとすれば、本意ではない。いくらでも産んでほしい。子どもが育って、「産んでくれてありがとう」と言う日が来ることが、信じられるなら。
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