枝豆をつまみながらpart2
ばび「ところで内部被曝って知っていますか?」
ふーさん「ああ、ときどき聞くけれど、野菜を食べたりして体の中で被曝するのじゃないかな?」
ばび「そうです。たとえば呼吸で肺に取り込まれたセシウムとかヨウ素が肺にくっついて、あるいは、食品や水から取り込まれて内蔵や骨に蓄積されて、1日24時間人体の内部から放射線が出続けて被曝することです。この被曝の「曝」の漢字ですが、当用漢字にはないそうです。これから何10年も頻繁に使われることでしょうから、使えるようにしたほうがいいと思います」
ふーさん「な~るほど」
ばび「ようやくマスコミでも内部被曝の説明をするようになりましたが、事故から1〜2か月間は、まるでタブーのようにマスコミは内部被曝の話題を避けていました。内部被曝の人体に与える影響は、外部被曝の数万倍以上だと言う人もいます」
ふーさん「そうだな。たしかに最近だよな」
ばび「枝野さんが言う『ただちに健康に被害がない』というのは、外部被曝だけのお話です。直接人体に及ぼす影響です。そうではなく内部被曝というものが恐ろしい。たとえば、肺のある部分に呼吸で取り込んだ放射性物質がつくと、その近辺だけが高度に被曝をして、DNAが切断されるのです。白血病をはじめとする『がん』だけではなく、心臓病や神経痛や肝臓や甲状腺の機能低下やいろいろな病気にかかりやすくなって、体調不良になります。ヒロシマの被曝者には体がだるくて働けない人が多くいました。すでに福島の子どもたちを中心に、首都圏の子どもたちにまで、『鼻血が出る、下痢する、咳が出る、喉が痛い、口に金属臭がする、顔の皮膚がひりつく』などの症状が出ていると報道されています。これらは内部被曝の初期症状だと言われていますが、全く放置されています」
ふーさん「そうなのか~」
ばび「ところで政府の基準はあくまで暫定値だと言っていますね」
ふーさん「あはは、そんなもん10年経ってもそのまんまさ」
ばび「そうそう。ちょっと待って下さい。ええとネットで……」
携帯を取り出すと、ばびはネットで検索を始めた。ふーさんは枝豆をぽりぽりやっている。
ばび「あった、これこれ。世界の基準値は……。たとえば飲み物ではWHO(世界保健機関)の基準が1ベクレルですが、各国はそれぞれ独自にもっと低い値を定めています。アメリカでは0.111ベクレル、ドイツでは0.5ベクレルとか。日本の暫定基準値は飲み物で乳児で100ベクレル、大人は200〜300ベクレルです」
ふーさん「何倍だ? え〜っと、ざっと1000倍っ!」
ばび「食べ物の方での基準値はWHOでは10ベクレルのところ、日本では500〜2000ベクレルなんです」
ふーさん「そうなのか〜っ!」
ばび「日本の基準は世界基準から大きくかけ離れています。これでは、日本政府が安全だと宣言しても、各国が輸入を制限しない方がおかしいっていうわけです」
ふーさん「な〜るほど、風評被害どころではない! まさに実害だよな」
ばび「日本も輸入された牛肉や中国野菜などについては、とっても厳しい目を向けるのに、日本の輸出品が嫌われる原因にはとっても鈍感です」
ふーさん「わが振り直せ、だな」
ばび「輸入品なら一方的に被害者となれるけれど、輸出品については、日本は加害者になってしまうのです。ふつう人は被害者になれれば、とても立場が強くなり、言いたい放題を言えます。けれども加害者は強いように見えて、実はとっても立場が弱いのです」
ふーさん「そうだな、ふつ〜は、自分が加害者だとは思いたくないよな」
ばび「そうなんです。普段、人は被害者になりたがります。逆に相手から嫌われたくはないから、加害者であることを認めるのは嫌がります」
ふーさん「そりゃそうだな」
ばび「ふつう誰もが被害者になりうるけれど、同時に加害者でもあります。詩人の石原吉郎さんが『人は、加害者であることにおいて、人間足りうる』ということを言っています」
ふーさん「さ〜すが。インテリだな!」
ばび「ははは。石原さんは誰かを傷つけることなしに生活していくことはできない。誰もが『傷つけたくはない』と思っていても、傷つけて生きている。『生きることは傷つけることだ』と自覚することは、とても大切だと言っています」
ふーさん「そうだな、傷つけたり、傷つけられたりだろうな」
ばび「トイレ行きますか?」
ふーさん「そうしよう」
コメント
班目(まだらめ)原子力安全委員長の言葉。
『3月11日(原発事故)以降のことは全部なしにしてもらいたい』
これは、原発の安全に対する最高責任者が『圧倒的な加害者になることを自分は引き受けられない』と言っているに等しいことです。覚悟がなさ過ぎ。だからでたらめ委員長などと言われてしまうのです。
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