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佐野卓志の「こころの病を生きるぼく」 2011年05月

「死刑でいいです」part1

 この衝撃的な題名の本は、母親と他人の姉妹の3人を殺した犯人の言葉だ。謝罪の言葉は最後まで出ないまま、死刑は執行された。この事件を共同通信社の池谷孝司氏が取材をして出版した。



送電線をスマートグリッドに

 今年の流行語大賞は「風評被害」と「ただちに健康に影響はない」で決まりだと思うのだが、実際には現実を批判しないような、当たり障りにないものが選ばれるだろうと思う。思えば、マスコミが何でもかんでも「風評被害」と呼ぶことで、「実害」が隠されてしまっている。「ただちに影響がない」ことで、5年後10年後の被害が忘れ去られている。あまりに酷い現実は、「見なかったことにして、安心しよう!」。これが今の政府、マスコミ、東電の基本姿勢ですか?



原発うつやあれやこれや

 5月3日にSPEEDIの今までの膨大なデータがやっと公開された。SPEEDIとは日本が世界に誇る、放射線拡散予想システムだ。3月11日からの1時間ごとのデータが今ではつぶさに見られる。不安ばかり広がって一番データの欲しい水素爆発のあったときには、政府はパニックを恐れて公開しなかった。政府発表は今では多くに人に信じられていない原因のひとつだろう。



孤独を生ききるpart6

 寂聴さんは良寛様のことを小説に書いている。良寛様は70歳のときに巡り会った、40歳下の貞心尼という尼僧と恋をして、恋の歌を多く残している。良寛様の死の床に駆けつけた貞心尼は良寛様につきそって、下の世話までなにからなにまで看病をした。その様子を寂聴さんは想像して書いている。
 死の床で寒がる良寛様の布団に入り、背後からぴったりと添い寝して、体を絡めて暖めてあげ、良寛様が寝息を立てるまで暖め続けたと。その後何日か生き続けて良寛様は亡くなった。こういう看護をされることにぼくもとても憧れるが、孤独な老人の共通の夢だろうと思う。



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プロフィール
佐野 卓志
(さの たかし)
1954年生まれ。20歳(北里大学2回生)のとき、統合失調症を発症、中退。入院中、福岡工業大学入学・卒業。89年、小規模作業所ムゲンを設立。2004年、PSWとなる。現在、NPO法人ぴあ、ルーテル作業センタームゲン理事長。著書に『こころの病を生きる―統合失調症患者と精神科医師の往復書簡』(共著、中央法規)『統合失調症とわたしとクスリ』(共著、ぶどう社)。
ムゲン http://www7.ocn.ne.jp/~lutheran/
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