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佐野卓志の「こころの病を生きるぼく」

ホントウのものとニセモノpart2

 ふ〜さん「お兄ちゃん! お酒と焼酎おかわり、それに軟骨と枝豆ね」
 ばび「軟骨はちょっと焦げているところが、噛むと香ばしくてうまいですね。さて先ほど宇宙の真理について。まさに気の遠くなる話ですが、追求して行ってどこかに完璧に本当のことは存在しているのでしょうか? 苦労を重ねて努力して、ヒトが真理に至ることはできるのでしょうか? 大抵の重大な発見のきっかけは多く直感によっています。証明のためには後付けで膨大な努力が必要なのですが。夕日の沈む美しさを見て感動して、きっと世界は神様がお造りになったものに違いないと、感じる瞬間はありますね」
 ふーさん「な〜るほど、分かるな」

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 ばび「しかし直感だけに頼って科学的証明を忘れると、行き着く先は、宗教なんです。宗教はヒトを幸せにもし、人生の指針や慰めにも絆にもなるから別にいいことだとは思うのです。でも真理ではない。真理であれば、無数の宗教が並び立つはずはないでしょう」
 ふ〜さん「な〜るほど」
 ばび「しかし宗教を信じているヒトに対して、その宗教指導者をニセモノだと皮肉ったりすると、命の危険すらある。たとえば深刻な国際問題に発展した、デンマークの新聞に載った、ムハンマド風刺画事件がありましたし、世界中の宗教対立はとても血なまぐさい歴史があって、今も続いています」
 ふ〜さん「イスラエルとかアイルランド,それにイラクなんかもそうだよな」
 ばび「ヒトは苦労を重ねてホントウのものに行き着くはずなのでしょうか? 結論を言うと、ぼくはとっくに諦めていますね。怠け者だから努力はバカらしいし、第一ヒトの努力は有限だし、血のにじむ努力を重ねたら病気になって体を壊すだけだろうと思うのです。先ほどのジョンナッシュが統合失調症になったようにです。最低限生活のための苦労をするだけで、必要で十分じゃないですか。できることであれば仕事なんかしないで、ぼくは残りの人生遊んで暮らしたいですよね」

 ふ〜さん「やっと着陸してくれたか。バビ哲学の大爆発。どっか〜ん! と一発、やってみよ〜〜おお〜♪っと。 やっぱり結局普通の暮らしが一番だよな」
 ばび「あはは。こんなこと言うからぼくは努力家や真面目な人から嫌われたりするのですよ」
 ふ〜さん「あははは」

 隅のボックス席で2人とももう酔いが回っていて、煙草の煙がもくもくと立ちこめていた。ふーさんは「トイレ!」と言って席を立った。
 ぼくは足をくずしたまま熱くなった頭を冷やすように、おしぼりを頭に乗せて、その気持ちよさに身をまかせていた。

(part3へ続く)


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プロフィール
佐野 卓志
(さの たかし)
1954年生まれ。20歳(北里大学2回生)のとき、統合失調症を発症、中退。入院中、福岡工業大学入学・卒業。89年、小規模作業所ムゲンを設立。2004年、PSWとなる。現在、NPO法人ぴあ、ルーテル作業センタームゲン理事長。著書に『こころの病を生きる―統合失調症患者と精神科医師の往復書簡』(共著、中央法規)『統合失調症とわたしとクスリ』(共著、ぶどう社)。
ムゲン http://www7.ocn.ne.jp/~lutheran/
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