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佐野卓志の「こころの病を生きるぼく」

人生の脇役(part2)

 目の前の水槽では、レッドテールキャットフィッシュがノタノタと泳いでいる。
 「大滝秀治さんって、時代劇やCMにも出ている飄々としたおじいさんの役者さんを知っていますか?」

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 クリスちゃん「たしか関根勤さんが物まねをやっていたような……」
 「そうそう。彼は名脇役と言われ、出演場面はわずかですがもうずいぶん長く役者生活を続けていて、たくさんの映画に出ています。主役を張る俳優さんは得てして寿命が短いように思いませんか? 花形でい続けることは大変なストレスです。脇役はスポットライトが当たるわずかなときにさえ目立てば、後は平穏無事な人生でしょう。大切なのは、その人にもいつか『出番』が回ってくることです。誰にとっても必要なものは『居場所』と『出番』ですよ。この『居場所』と『出番』というのは、鳩山由紀夫氏の言葉でもあります」
 クリスちゃん「な〜るほど。居場所と出番ですか。たしか、友愛総理でしたね。今の職場は私にも居場所と出番がありますから、ある意味幸せだと思います」
 「アニメ『ケロロ軍曹』のケロン軍のドロロ兵長は、影が薄くったって多くの演技をこなすことができます。ドロロ兵長も突然トラウマスイッチが入って深く落ち込むというキャラで目立っていますが、トラウマで人気のある脇役でいいと思いませんか? ドロロ兵長の『みんなぼくのこと、忘れていたんだね!』といういつものセリフ、脇役らしくていいんじゃないでしょうか?」
 クリスちゃん「ケロロ軍曹は好きでよく見ていますが、確かにドロロは可愛くて好きです。でも長寿番組ですね〜。7〜8年続いていませんか?」
 「確かに、『ケロロ世代』というのも確実に育っているかもしれません」

 「さて、主役のように、勝利を目指して現実をてきぱきと動かしたり、重い責任を負ったりする大黒柱になんかならなくていい。いや、自分はとてもそんなものになれっこなんかない。だったら脇役としてひっそりと社会の片隅で小さな幸せを時々は感じながら一生を終えればいい。そうは思いませんか?」
 クリスちゃん「何か一種の悟りですよね。ホントに自分に正直で楽な生き方をすればいいのですね」
 「ぼくはもうすぐ人生の現役を引退します。『老兵は死なず、ただ消え去るのみ』。戦後日本を占領した、マッカーサーの言葉だったと思います。次の主役になりたい若い兵隊は、老兵が消え去るのを望んでいるものです。マッカーサーなんて知らないでしょう?」
 クリスちゃん「歴史は苦手でしたから」
 「あ〜、ぼくらは戦後世代と呼ばれますが、戦後って若い人にはすでに過去の歴史なのですね! 時はどんどん流れて歴史になっていくのですね」
 クリスちゃん「わたしも学生時代に比べれば歳取っちゃいました」
 「何言っているんですか。ぼくなんか本物の年寄りですよ。あはは」

 レッドテールキャットフィッシュの水槽で、隅っこの水面近くで、のそのそ動いている小さな黒い物体を見つけた。さかさまになって、水面に腹をつけて泳いでいる。
 クリスちゃん「あ、さかさなまずです。おとなしい性格ですよ。大きななまずは小さな熱帯魚を食べたりすることもあるんですけれど」
 「じゃ、さかさなまず、うちの水槽のマスコットに買って帰ろうか」
 クリスちゃん「店番していて、売れるときとてもうれしいです」
 クリスちゃんは柱にかけてあった、魚をすくう網を右手にとって、水槽のガラスのふたを開けようとして、よいしょと丸イスから立ち上がった。


コメント


大滝秀治さん、素敵ですよね。実は、私、はるか昔ですが、レストランでお見かけしたことがあるんです。今でこそ「誰でも知っている」俳優さんですが、当時は「知る人ぞ知る」俳優さんでした。おひとりで、お昼を召し上がっておられました。
脇役といえば、花沢徳衛さん、覚えていらっしゃいますか?あの方もいい味を出していらっしゃいましたね。あの方の釣り帰りに、私、遭遇したことがあります。「わあ!」と思ったのですが、プライベートのお時間をお邪魔しては申し訳ないと思い、お声はかけませんでした。10年ほど前にお亡くなりになられて、本当に残念です。
私、結構いろいろな俳優さんをお見かけしたことがあり、悪代官役や、悪い家老役などでおなじみの川合伸旺さんと同じエレベーターに乗り合わせたこともあります。意外と小柄な方で、時代劇ではいろいろ工夫なさっていらっしゃるようです。川合さんのホームページ、是非、訪ねてみて下さい。面白いですよ。

サカサナマズ、光に反応してさかさに泳ぐので、無重力でもさかさに泳ぐそうです(ウィキペディアより)。でも、宇宙って真っ暗じゃないですか。水もないし。サカサナマズの無重力実験って、どういう意味があるんでしょうね。
サカサナマズにもいろいろな種類がいるらしく、逆さに泳がなかったり(サカサナマズなのに!)、毒を持つ攻撃型もいるそうです。サカサナマズの世界も奥深いですね。


投稿者: めんどり | 2010年12月09日 12:07

サカサナマズを調べてみたら、群生するとあったので、さらに調べたらyoutubeで画像がありました。
http://www.youtube.com/watch?v=8ECB078jDoM

かわいいです。毒を持つものもあるのですね。知りませんでした。
脇役と言えば、悪役商会もすっかり有名になりました。CMでおなじみの人、だれだっけ?と思って調べたら、八名信夫さんでした。
花沢徳衛さんもyoutubeで見つけて思い出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=q0ncMsiwRPI

川合伸旺さんは絵も描かれるのですね。素朴な絵です。
http://www7b.biglobe.ne.jp/~kawainobuo/


投稿者: 佐野 | 2010年12月09日 18:35

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
佐野 卓志
(さの たかし)
1954年生まれ。20歳(北里大学2回生)のとき、統合失調症を発症、中退。入院中、福岡工業大学入学・卒業。89年、小規模作業所ムゲンを設立。2004年、PSWとなる。現在、NPO法人ぴあ、ルーテル作業センタームゲン理事長。著書に『こころの病を生きる―統合失調症患者と精神科医師の往復書簡』(共著、中央法規)『統合失調症とわたしとクスリ』(共著、ぶどう社)。
ムゲン http://www7.ocn.ne.jp/~lutheran/
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