福祉的就労の「労働者」(part2)
障害の受容という「覚悟」ができて、いざ障害年金がほしいと思っても、現在は三大精神病(統合失調症、躁うつ病、てんかん)の人しか対象にならない。だから、この三大精神病のどこかに引っ掛けて、診断書も書いてもらうことになる。頭の中で声がすることなどがあれば、とにかく統合失調症というような具合だ。
アルコールによる幻覚や発達障害の二次障害である一時的幻聴、解離性障害で複数の人格がおしゃべりしても、ぜ〜んぶ統合失調症。それを疑問視する精神科医たちも出てきているが、無邪気で不勉強な誤診と投薬を続けている医者も多く、結果的に医療費を押し上げている。
精神障害者はおしなべて貧乏で、何とかして障害年金を受給したいと思っていることが多い。そして、このような患者のために、意図的に誤診をやっている医者もいる。こういう医者は患者の味方でヒューマニストではあるが、現状では犯罪者になってしまう。
逆に、自分の厳密な診断にこだわって、簡単には年金をもらうための診断書を書いてくれない、あるいは症状を重く書いてくれない、精神障害者の困窮の実態に無関心なお坊ちゃんな先生もいて、福祉の現場ではとても困ってしまうこともある。
しかし、生活のために障害年金がほしいと本人が思って行動を始めるのは、状態がよいときが多い。本当に医者が重く書くであろう状態の悪い時期には、弱りきって年金どころではないことが多い。痛し痒しである。
障害年金では、神経症や依存症、PTSD、発達障害などの人は、たとえ働けなくても対象外である。これは「精神病の人は働けなくて、神経症などの人は働ける」という、障害年金の制度が始まった頃の古い考えがもとになっている。もちろんこれは、実態とは大きくかけ離れている。
現在の民主党政権の元では、障害者自立支援法を廃止して、障害者総合福祉法を制定するという方向で検討がされている。この障害年金の問題も、たとえば神経症などの人でももらえるように、「生活のしづらさ」に基づいて制度改革を行ってほしいものだ。
また、知的や身体障害では3級の障害年金が存在しているが、精神は2級までになっている。このような差別的扱いも改めて、精神にも障害等級3級で年金が支給されるようにしてほしい。助かる人はずいぶんたくさんいるはずだ。
そういえば、障害者自立支援法をつくって当事者からの批判が噴出したときに、ときの自民党政権は「障害年金1級の額を、生活できる額に引き上げる」と言っていたが、今ではむなしい空手形となっている。それと、障害年金は成人してから発症した場合、掛けた年月の算定(基本的に3分の2以上の期間掛けていたこと)でもらえる可能性を選別しているが、この仕組みがまた超複雑で、専門家でも判断に苦しむ場合がある。この簡素化も急務であろう。
(part3に続く)
コメント
「障害年金がほしいと思っても、現在は三大精神病(統合失調症、躁うつ病、てんかん)の人しか対象にならない。」って、誰が、どういう基準で決めたんでしょう?絶対、おかしいですよね。「生きづらさ」を感じている人は他にもたくさんいますよね、現実には。まぁ、行政の在り方の問題だと思いますけど。
それから、詳しいことはわからないんですけれど、「障害年金」の申請の為の「診断書」を書くのって、けっこうお医者さんにとって、面倒なものらしいですね。それがイヤで書かないっていう医者もいるかも。そうは考えたくないですけれどね。
お金と、ある程度のパワーがないと医者にも行けないから、本当に大変な人が医療に繋がってないってこともあるのかもしれないのでは? そのような状態の人は福祉にも繋がらない、というケースもなきにしもあらず、と思います。特に、生活保護の申請も窓口で(窓口に行くのも大変なのに)却下されるような国では。
ひきこもりの人も障害者に含めて、福祉サービスが受けられるようにしては、ということも現在のプロジェクトチームでは話し合われているようです。本人はなかなか障害者という自覚は持たないけれども、親亡き後の生活を考えると、当然かもしれません。生活保護だって、外出して市役所に行かないと、申請すらできませんから。
年金の診断書は現在親と暮らしていても、一人暮らしになるとどうなるかを想像して書くのが本当なのに、それができない医者もいるのでは。って医者は味方に付けないといけないので、悪口ばかり言っていてもしょうがないのですが。医者にはいってても、医者と福祉の間が切れている場合もありますね。
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