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佐野卓志の「こころの病を生きるぼく」 2010年11月

事業仕分けはもういいんじゃないのか?

 今日も熱帯魚屋のマットグロッソに来ている。入荷したばかりのフルメタルブルーグラスグッピーのつがいを1600円で購入した。メダカの仲間だが、オスは薄紫の背びれと尾びれがからだの何倍にも広がって、ひれ一杯に濃い紫の細かな斑点が入っていて、とても優雅に泳ぐ。メスはオスより大きくずんぐりむっくりな体型でちょこちょこと泳ぐ。早くアクアリウムで泳がせてみたい。
 店の丸イスに座ろうと新聞をどけると、見出しが目に入った。「事業仕分け第3弾!」。事業仕分けが8月以降続けて行われたが、第3弾として、特別会計を対象とした事業仕分けを10月末、再仕分けを11月中旬に行うという記事だ。



福祉的就労の「労働者」(part3)

 さて、ムゲンはこの4月に就労継続支援B型になって、職員も5名に増えた。最低賃金(最賃)は守っていないが、例えば織り機のやりすぎで背中が痛くなれば、整骨院に行ってもらったりしている。
 ムゲンは、働く場である前に「居場所」だから、テレビを見て休んだり、おしゃべりしたり、お昼寝をしたり、自由だ。そういうこともあって、最賃は守れない。仕方ないことだ。だから逆に、あまり働けない重度の人を拒むこともない。この重度の人を切り捨てないということは、ムゲンの21年間の歴史でずっとやってきたことで、生命線でもある。だから、重度の人をいとも簡単に切り捨てて働ける人だけを選別して最賃を守る就労継続支援A型などに、ムゲンが移行することはない。



映画「葦牙」上映会

 福祉的就労の「労働者」の途中ではあるが、ここで一つ、宣伝を含めた告知を先にさせてもらいたい。

 11月が児童虐待防止推進月間であることをご存知だろうか。11月に何月間があるかを調べてみると、青少年健全育成強調月間、下請取引適正化推進月間、エコドライブ推進月間など、16もの項目がある。そのうちの一つに、児童虐待防止が取り決められている。



福祉的就労の「労働者」(part2)

 障害の受容という「覚悟」ができて、いざ障害年金がほしいと思っても、現在は三大精神病(統合失調症、躁うつ病、てんかん)の人しか対象にならない。だから、この三大精神病のどこかに引っ掛けて、診断書も書いてもらうことになる。頭の中で声がすることなどがあれば、とにかく統合失調症というような具合だ。
 アルコールによる幻覚や発達障害の二次障害である一時的幻聴、解離性障害で複数の人格がおしゃべりしても、ぜ〜んぶ統合失調症。それを疑問視する精神科医たちも出てきているが、無邪気で不勉強な誤診と投薬を続けている医者も多く、結果的に医療費を押し上げている。



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プロフィール
佐野 卓志
(さの たかし)
1954年生まれ。20歳(北里大学2回生)のとき、統合失調症を発症、中退。入院中、福岡工業大学入学・卒業。89年、小規模作業所ムゲンを設立。2004年、PSWとなる。現在、NPO法人ぴあ、ルーテル作業センタームゲン理事長。著書に『こころの病を生きる―統合失調症患者と精神科医師の往復書簡』(共著、中央法規)『統合失調症とわたしとクスリ』(共著、ぶどう社)。
ムゲン http://www7.ocn.ne.jp/~lutheran/
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