男はカマキリのように(part1)
今夜は、熱帯魚屋のオヤジのふーさんと近所の居酒屋で晩飯に飲んでいる。
「ぼくは、男はカマキリのようだと思っているんです。交尾が終われば男は用なし、むしゃむしゃと女性に食べられて栄養になり、一巻の終わり」
ふーさん「ほう、おもしろい!」
「それでも生き延びる男がいれば、遊んでいても別に問題はない。あとは女性が働いて子どもを育てればいい。家事は手伝うとしても、男の役割なんてその程度だろうという諦めがあります」
ふーさん「男って皆マザコンで、奥さんのおっぱいにしがみついてさえいれば、それで幸せになれる。おっぱいをくれなければ幸せになれないので、当然女性の機嫌が悪くなるのをおそれて女性に優しくなる」
「それですべての男は恐妻家!」
「男といえば、縄張りを張りますね」
ふーさん「動物として獲得したメスを他のオスに取られないために、普通、自分の縄張りを侵されれば、男はプライドが傷つき怒り反撃に立ち上がる」
「男性が女性を口説くのに『ぼくは君を守る』と言ったりするのは、自分の縄張りに入れるためですね。男は『君はぼくの宝物だ』と言ったりするかもしれないけれど、『宝』に目を奪われてはいけないよ、お嬢さん。獲得した『物』なのだ、女性は」
ふーさん「ははは。釣った魚に餌はやらないとも言うな」
「だからとても外面のいい男性が、家庭では奥さんに平気で暴言や暴力を振るえる」
ふーさん「確かに、外面がよすぎる男は信用できんよ」
「でも、ふーさんほど外面がぶっきらぼうなのも、どうかと思いますよ」
ふーさん「わははは。少しは人の目を気にしたほうがいいかな?」
「それに、釣った魚には頭が上がりませんしね」
ふーさん「そうそう。叩けばほこりの出るからだじゃ。わっはっは」」
「『女性は優秀な遺伝子を残すために優秀な男を選ぶ』というのは、本当でしょうか?」
ふーさん「わしだってその気になれば、結構もてるんじゃぞ」
「あはは、そうですね。でもカッコいい男が暴力を振るったり、逆に若いときにモテなかった男が家庭を大事にしていたりもします」
ふーさん「女性が『優しい男がいい』って言うのは、よく聞くよな」
「暴力夫も泣いて謝って、とても『優しい』んですよ。暴力夫にだって愛はあるんです」
ふーさん「そりゃそうかもしれんな」
「結局男って、一生縄張りを守って、せっせとお金を家庭に運んでくれればいいだけですね。むなしいですね」
ふーさん「ま、それはそれで大変なことだぞ。わしだって親戚に泣きついたことも何度もあるし」
「妻を守るなんてことも、現実にはあり得ない話ですね」
ふーさん「そりゃそうだ。それどころかトラブルを持ち込んだりする」
「男は縄張りを拡張しようと、新たなメスを求めたり、行動範囲を広げようとすることも多い。そこで、争いが起こる」
ふーさん「だから縄張りがぶつからないように、敵意がないことを示す『礼儀』が重んじられるのだ」
「国家を縄張りだと思っている男は、やたら国の防衛に熱心だったりしますね」
ふーさん「うーん。縄張り争いといえば、わしゃ、10代で暴走族に入ってたこともあった。グループ同士の抗争もあった」
「今でもバイク好きですよね。縄張り争いは若い証拠です」
ふーさん「わしも今じゃ年取って、家庭の中で小さくなっているぞ」
「男って、暴力的なものや権力、上から目線をなくしてしまうと、ちっちゃくてか弱いですね〜!」
ふーさん「男の強さは作り物だからな。せっせと鍛錬にいそしむ男も実に多いな。たいして強くもならないのに」
「そうそう、芯の強い男性など、めったにいない。ぼくもふーさんも、前にも言ったけど、自覚のある筋金入りの弱虫ですよね」
ふーさん「本当は、気弱でロマンチックなんだな。男って…(遠い目)」
「でも男はすぐに行き過ぎて妄想的になって、暴力や権力にしがみつくことが多いですね」
ふーさん「そうじゃ。本当の意味で強い男性など、めったにいないものだ」
(part2に続く)
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