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佐野卓志の「こころの病を生きるぼく」

リリー賞受賞しました!

 精神障害者自立支援活動賞(リリー賞)というのは、頑張っている精神病者(主として統合失調症)1名と医療福祉活動部門1団体とを表彰して、副賞として100万円を与えるものだ。リリー賞の名で、業界には広く知られている。
 なぜリリー賞と呼ばれるかというと、ジプレキサなどの向精神薬を出している日本イーライリリー社が協賛しているからだ(主催は、特定非営利活動法人 地域精神保健福祉機構(コンボ))。過去は4部門くらいあったのだが、今は規模を2部門に縮小して続いている。ジプレキサについては、賞をもらっておいて言うのもなんだが、飲んだときに血糖値がぴゅーっと上がってしまい、即刻飲むのをやめたことがある。
 今年は第6回で応募総数は84、過去最大だったそうだ。今回はぼくと、岩手県一関市で演劇などをされている団体「心の病と共に生きる仲間達連合会キララ」の人たちが受賞した。

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 受賞の電話がムゲンにあったのは、授賞式の2週間くらい前。それに先だって授賞式の予定表が郵送されてきていたので、「応募はしたけれど、誰かが受賞したのだな」と思っていた。そのため受賞を知らせる電話口で、うれしくて「えっ、本当ですか!?」と叫んでしまった。1回目のときに応募して落選したので、あきらめていたのだが、知り合いから勧められて、前回と今回の第6回に、経歴と資料を添えて応募した。3度目の何とかだ。

 授賞式は、2月20日に東京であった。スーツを着ないといけないので、久しぶりにジャケットなどを出してみると、2、3本はあったはずのネクタイが見当たらない。出発前日にデパートに買いに行って、事なきを得た。
 授賞式では、「たぶん司会の人が色々聞いてくるからそれに答えればいいのだろう」くらいに考えていたのだが、当日の直前の打ち合わせで、活動報告を「10分間1人でしゃべってくれ」とのこと。「えっ、事前に言ってよ」と思ったが、本番では何とかしゃべれた。
 しかし、終わっても会場がシーンとしてしまって、「ウケない!」。横で見ていた波津子が急遽舞台に上がり、着て来ていたムゲンの裂き織りの洋服の説明をしてくれたので、結構盛り上がった。裂き織りというのは、ムゲンに寄付してもらった古着物を、使えるものはそのまま洋服にしたりするのだが、洋服にならない布地を細く裂いていって、長い紐にする。それを織り機で一目一目メンバーが布地に織っていく。それをつないで加工し洋服にしたりして販売しているムゲンの自主製品だ。

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写真1 ウケなかった、自分の活動報告

 審査員・プレゼンターとして、俳優の萩原流行さんが来られていた。萩原さんは、奥さん共々うつ病であることをカミングアウトしている。黒のカウボーイハットに赤いシャツ、黒のスカーフ、黒の革ジャン、横に黄色いストライプの入った黒のパンツで、いかにもというおしゃれだ。ちょっと太めだったのは、抗うつ剤の副作用なのかもしれない。

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写真2 波津子に萩原流行さんからリリー賞の目録が授与された

 授賞式には、第1回リリー賞受賞者の澤田優美子さんと、第4回受賞者の横島若騎さんも来られていた。澤田さんは背の高い細身の女性で、副賞の100万円を使って、精神保健福祉士と社会福祉士と臨床心理士の資格を取ったそうだ。小平市のクラブハウスを拠点に国際的に頑張っているのだが、細身と相まって「大丈夫かな。ストレス多いのでは?」と心配になった。でも、当人に聞いてみるとけろっとしていた。統合失調症の人は、安定していると太っているという印象があったのだが。横島さんは統合失調症をカミングアウトしているプロのピアニストだが、どんな曲でも1回聞くと、その通りに即興で弾けるということだ。サヴァン(自閉症系の天才)なのかもしれない。リリー賞をもらってから、彼は劇的に生活が変わったという。方々から演奏のお呼びがかかり、忙しくてたまらないそうだ。

 当日は、2時間の授賞式に引き続いて「障碍(がい)」という言葉についてのシンポジウムもあった。「統合失調症」と呼称を変えて、イメージがよくなったという例もあるので、これからも議論を見守りたい。
 「障害者」の定義について、「どこまでの範囲を含めるのか」という問題提起もあったが、まったくその通りで、薬の効く精神障害と、薬の効かない精神障害もある。人格障害(あるとすれば)、数々の依存症、アスペルガー障害などには、基本的に薬は効かない。アダルトチルドレンは病名ではないけれど、精神科に通っている人も、健常者もいる。でも、どちらも生きづらさを抱えている。民主党になってから、生活しづらさで障害を定義して障害年金にも反映させようという議論が始まっているようだ。

 さて、もらったこの100万円だが、とりあえず、ムゲンのみんなで寿司を食べに行こうと思っている。

 リリー賞を紹介しているホームページ
http://www.comhbo.net/modules/news/article.php?storyid=32

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写真3 萩原流行さんとスリーショット! ぼくが手に持っているのが、ずっしり重いクリスタルの楯」


コメント


 ちょっと遅い投稿ですが、リリー賞受賞おめでとうございます。
 以前から、ムゲンさんに興味があり時々ホームページをのぞかせてもらってています。
 これからも、ご活動がんばってください。応援しています。


投稿者: 黒木 光子 | 2010年03月05日 13:43

 先ほど書きこんだのですが消えてしまったのでまた書きます。 重複していたらスミマセン。
 リリー賞受賞おめでとうございます。
 佐野さん、とても緊張したお顔をされているようです。うけようとすればするほどうけないものですね。奥様の力は大きいですね。とても良い奥様のようですね。
 ムゲンの皆さんと美味しいお寿司が食べられますように。


投稿者: 金太郎の妻 | 2010年03月05日 19:31

こんばんは(^^)
リリー賞受賞 おめでとございます♪♪

お写真のお二人
笑顔の素敵なご夫婦ですね。


投稿者: ちこたん | 2010年03月05日 20:31

 ありがとうございます。祝福はとてもうれしいです。あと5年か10年、ムゲンをやって、後の人に引き継ぎたいものです。たしかに20年以上もムゲンをやれてきたのは、奥さんの力が大きいです。


投稿者: 佐野 | 2010年03月05日 23:42

 どうも、この度リリー賞受賞おめでとうございました。
 第4回のリリー賞受賞のときを思い出しますね。
 佐野さんのことは、授賞式で初めてお会いしたのですが、やはり受賞者だけのことはありますね。
 これからだんだん実感がわくと思います。
 おたがい、これからもリリー賞の理念に沿って活動していきましょう。
 どうもおめでとうございました。


投稿者: 横島若騎 | 2010年03月14日 20:35

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プロフィール
佐野 卓志
(さの たかし)
1954年生まれ。20歳(北里大学2回生)のとき、統合失調症を発症、中退。入院中、福岡工業大学入学・卒業。89年、小規模作業所ムゲンを設立。2004年、PSWとなる。現在、NPO法人ぴあ、ルーテル作業センタームゲン理事長。著書に『こころの病を生きる―統合失調症患者と精神科医師の往復書簡』(共著、中央法規)『統合失調症とわたしとクスリ』(共著、ぶどう社)。
ムゲン http://www7.ocn.ne.jp/~lutheran/
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