僕のひきこもりナンパ宣言
『僕のひきこもりナンパ宣言』(夏目亮介著、新紀元社)という本がある。本の帯には「レベルが上がった! 女の子と話せるようになった!! 元自衛隊員・ひきこもり青年がナンパ師めざして大奮闘!」とある。読むっきゃない。
著者は5年におよぶ自衛隊生活でおかしくなる寸前までいじめられ、2年近くひきこもっていた。有識者が「ひきこもりやニートは、自衛隊に放り込んで鍛え直せばいい」というけれど、自衛隊に勤務してひきこもった自分はどうすればいい! 偶然ネットで出会ったひきこもり支援のボランティア「コトバノアトリエ」の代表とロッテリアで会ったとき、注文の仕方、料金の支払いがわからなかった。銃の分解結合や射撃、ほふく前進の技術は無駄にあったのに。
ひきこもりにとって、ファストフードの商品の注文の仕方、ホテルの利用の仕方、電車の乗り方とかは、わからなくても人には絶対聞けない。著者は「『ひきこもり』から脱出しようともがいている人と、街で女の子に声をかけられずに固まっている『ナンパ初心者』は共通の心理状態だ」と言う。
ひきこもりは社会的信用ゼロ、何をしたって失うものは何もない。遊びも何も知らなくて、25歳まで女の子と全然話したこともないので、女の子と遊びまくる夢を叶えようと思った。そこで、失敗しても関係ないとナンパを始めた。ナンパで恥をかいても、どうせもう会わないし。
まずはステップ1、女の子に街で道を聞く。80人くらいに道を聞いたが、結果8割の人が親切に道を教えてくれた。あと、量販店で女性の店員に「商品の場所」とか「どんなのがいいか」を聞く。次は、アキバのメイドさんがマッサージ(風俗ではない!)している店でマッサージ中に会話。仕事を聞かれたら、自分のブログを書いているだけなのだけれど、「ITコンテンツの配信です」。でも、ご飯に誘ったら「規則でダメです」。
さて、新宿で初めてのナンパを決行。緊張感で心臓バクバク、冷や汗たらたら。結局、声をかけられないまま追跡して2時間、プチストーカーを続ける。「自爆テロを敢行し、死んで護国の鬼にならん!」と、髪の長いゴスロリのお姉さんに「君かわいいね、何やってるの?」と第一声。「今ちょっとヒマでぶらついていたの。君は?」「うんぼくもヒマでね。よかったら話しない?」
ビギナーズラック、スロット2つ揃い! 手慣れてない分、「勇気をもって私に声をかけてきた」と、こころが動かされることが多い。声かけが手慣れてくると、無視されることが多い。話していると、彼女はガンダムマニアだったので、自分の知識でカバーできた。音楽とか芸能人の話をされたらダメだったかも。携帯番号とメルアドを交換して別れた。知り合ったばかりの子に電話するのが怖くて、その日のうちに電話を入れなかったため、後日連絡したら忘れられていた。
アキバも新宿もダメで、ネットの友人と浅草でナンパ。「写真撮ってくださ〜い」。すべての女の子がオーケー。「よかったら一緒にお参りしませんか?」で、撃沈の嵐。でも、今までは孤独な闘いだったのに、仲間がいれば笑い飛ばせる。「けむりを浴びていますが、これ何ですか?」ですべての女の子が説明してくれる。「よかったら一緒にお参りしませんか?」でやっと引き気味の4人組をゲット。「お名前聞いてもいいですか?」「あの、名乗るほどのものじゃないです」「時代劇のヒーローみたいなこと言わないでよ」でクスクスと笑ってくれた。初めて冗談が言えた! 相当なレベルアップ。しかし、食事に誘うとはっきり断られた。
元ひきこもりが3人でナンパ。ひとりは女子大生のグループから不審の目で見られ、傷ついている。高校卒業後、数年ひきこもっていたもうひとりは、硬直しっぱなしで、路上で立ちつくしている。でも彼は、1日やってひとりの女の子に道を尋ねることができた。
花火大会中、一人でいたおとなしそうな浴衣の女の子に声をかけると、あまり嫌がることなく話に乗ってきてくれた。雰囲気で「いいかな?」と思い、手をつないだ。花火を見ている間に肩に手を回すと、嫌がらなかったので、ずっと肩を抱いていた。「キスしよう」というと、あっけなくキスできた。26年間生きてきて、風俗以外で初めてキスをした! 連絡先は拒否された。
ナンパして番号を聞いていた女の子との電話のやりとりで、相手は小さな声でぼそぼそしゃべり、自分の話したいことばかり話してきて、夜中2時にかかってきたり、「ストーカーに追い回されている」という妄想めいた話をする子がいて、ちょっとこちらもうっとうしくなった。「嫌われてもいいや」と「ホテル行かない?」と誘ったらついてきたので、ホテルで素人と初めてのH。
必要だったのは、ホテルに誘う勇気と行動力、無神経さだけだ。ひきこもりから出てきてナンパを始め、女の子とキスするまで1年半。ホテルまで行くのに2年。これで、男同士の猥談でもただ隅で縮こまっている必要もなくなった。「ナンパした女が初めての経験だったな!」と言える。
「次の希望は、彼女を作って愛あるHをしたいということだ」というところで、体験談は終わっている。ひきこもりの皆さんは、ぜひともこの本を読んで勇気をもらってほしい。
ぼくも大学を出て就労した時に、工場で一番かわいい(主観的に!)女の子に日に何度も仕事で顔をあわせるので、「次に彼女と何話そう」とばかり考えていて、仕事がミスだらけで注意されたことがある。でも、好みの女の子に声をかけ続けることは、結果コミュニケーションのスキルアップにつながった。勇気がいるのは最初の1回。ひきこもりのみなさん、女の子に声かけてみませんか?
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