ページの先頭です。

ホーム >> 福祉専門職サポーターズ >> プロフェッショナルブログ
佐野卓志の「こころの病を生きるぼく」 2008年05月

責任を取るということ(part2)

 実は、顔立ちやスタイル、才能、頭の良さ、年齢、病気、親の財力、親の喪失など、人は自分で責任の取れないところで、生きている限り十二分に理不尽な責任を取らされ続けている。遺伝的異常に対して、責任を取らされている。恋愛や仕事や生活で、生まれた時からずっと他人からの評価などよって人生を左右されて、責任を取らされている。
 また、DV夫と一緒になるなんていう、結婚するまでわからないことに、責任を取らされている。どんな親の元に産まれてきてどんな扱いを受けるか、愛情飢餓でトラウマを受けて育ったことに、十分責任を取らされている。



責任を取るということ(part1)

 「ぼくと波津子は、10年後くらいにはムゲンを引退するかもしれない。そうすると、ムゲンはつぶれるかもしれない。それまでに後継者も育ってなければ、そのことに関してぼくは責任など取れない」
 そうワーカーたちに言ったことがある。するとワーカーたちは、「メンバーに対する責任はどう取るつもりだ!」とぼくを批判した。しかし「ぼくには、いや人間はすべて、責任など取れない」と言った。



精神病者は怖いか?

 ぼくは今までに、少なくとも3度、明確に人を殺したいと思ったことがある。
 1度目は母。長い子ども時代からの葛藤の末だ。病者の殺人には尊属殺人が実に多い。身近で親身な人にこそ妄想的になるからだ。ぼくの殺意は長期間続いた。30歳くらいまで続いたと思う。
 2度目は、死刑廃止運動をしていた時のリーダーだ。あまりに強権的なリーダーのやり方がプレッシャーで、妊娠していた波津子が流産しかかったので、リーダーに「流産したらお前を殺す」と言った。この時は直接刺すことは難しいから、灯油を相手の家に撒いて焼き殺そうと思った。ぼくが犯罪者として収監されなくて済んだのは、未熟児でも無事に産まれた息子のおかげだった。



卯月妙子という人

 卯月妙子という人は漫画家であり、AV女優であり、アーティストである。しかも統合失調症(波状型:症状と寛解を激しく行き来する)である。
 『新家族計画』(太田出版)という漫画を読んだことある人がいるかもしれない。もちろん他人であるが、卯月さんの「オヤジ」である有末剛氏が書いている「実録閉鎖病棟‐毎日PKO」という文章がある。もちろん仕事は、卯月妙子さんの「地雷?!」の撤去である。まずはリンクを読んでほしい。バックナンバーが9回ほど読める。残酷とも思われるシーンがあるので、気をつけて読んでほしい。



戦争とPTSD

 入院している時に、入院患者に自衛隊出身者が目立つなあ、と思っていた。これを主治医にぶつけると、やはり自衛隊で発病する人は多いという。その原因は、部隊の鉄の規律によるストレスやいじめの横行だろうということだった。



ページトップへ
プロフィール
佐野 卓志
(さの たかし)
1954年生まれ。20歳(北里大学2回生)のとき、統合失調症を発症、中退。入院中、福岡工業大学入学・卒業。89年、小規模作業所ムゲンを設立。2004年、PSWとなる。現在、NPO法人ぴあ、ルーテル作業センタームゲン理事長。著書に『こころの病を生きる―統合失調症患者と精神科医師の往復書簡』(共著、中央法規)『統合失調症とわたしとクスリ』(共著、ぶどう社)。
ムゲン http://www7.ocn.ne.jp/~lutheran/
sanobook.jpg
メニュー
バックナンバー
その他のブログ

文字の拡大
災害情報
おすすめコンテンツ
福祉資格受験サポーターズ 3福祉士・ケアマネジャー 受験対策講座・今日の一問一答 実施中
福祉専門職サポーターズ 和田行男の「婆さんとともに」
家庭介護サポーターズ 野田明宏の「俺流オトコの介護」
アクティブシニアサポーターズ 立川談慶の「談論慶発」
アクティブシニアサポーターズ 金哲彦の「50代からのジョギング入門」
誰でもできるらくらく相続シミュレーション
e-books