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佐野卓志の「こころの病を生きるぼく」 2008年04月

手を汚すということ

 施設の運営をやっていると、全体のために一部を切り捨てるということをしないといけないこともある、と以前に書いた。「誰も排除しない」という理想は持ち続けているのだけれど、現実には「切り捨てる」という汚れ仕事をしないといけない。



ピンピンコロリ

 「ピンピンコロリ」という言葉を知っているだろうか。ワーカーの国試を受けるための専門学校のスクーリングで、ある大学教授が力説していたものだ。
 人の理想は、ピンピンと元気に生きて、老いて人の世話になる前にコロリと死んでしまう、ということである。授業中体操の指導まであって、随分とその健康志向に驚いた。病者と付き合うのに健康を説くとはかなり皮肉な話だと思う。



ぼくの「立ち位置」

 PSW協会に入って初めて接した言葉に、「立ち位置」というものがある。発言するにあたって「母の立場」「子の立場」「ワーカーの立場」「女の立場」「職員の立場」とか、ワーカーはいろいろな立場を自由に使い分けているのだ。
 驚きだった。ぼくは24時間病者でしかないのだから。逃れようとしても逃れられない「立ち位置」である。ぼくは父親であり、PTAにも入っていたこともあるけれど、父親という「立ち位置」を意識して発言したことはなかったかもしれない。



「奇形児」を産むということ

 ときどき「精神薬を飲んでいるのですが、奇形児が産まれないか心配です」という質問を女性から受けることがある。
 病者が子どもをもつことはぼくもうれしいけれど、「五体満足に産むのは親の責任だし、第一、産まれた子どもがかわいそうだ」と言う。それで、ぼくの知っている知識で「妊娠4〜7週に気をつければいいだけみたいですよ」と一応は答える。しかし「奇形児」という言葉に引っかかる。「障害児」と呼ばなくて、それこそかわいそうではないのか。



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プロフィール
佐野 卓志
(さの たかし)
1954年生まれ。20歳(北里大学2回生)のとき、統合失調症を発症、中退。入院中、福岡工業大学入学・卒業。89年、小規模作業所ムゲンを設立。2004年、PSWとなる。現在、NPO法人ぴあ、ルーテル作業センタームゲン理事長。著書に『こころの病を生きる―統合失調症患者と精神科医師の往復書簡』(共著、中央法規)『統合失調症とわたしとクスリ』(共著、ぶどう社)。
ムゲン http://www7.ocn.ne.jp/~lutheran/
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