援助者のタイプ
ワーカーに必要とされるものに、年金や生活保護の知識がある。これは仕事を通じて自然に増えるものだし、松山でも、中堅のワーカーたちにまで頼られている年金のプロがいる。わからなければ、聞けばいいだけだ。
それよりもワーカーに必要とされるものに、「人間関係へのスタンス」があると思う。病者の言葉に振り回され、あれこれ動き回るワーカーと、人間的にしっかりしていて、病者の言葉に簡単には振り回されないワーカーと、どちらがいいワーカーだろうか?
セックスワーク
ある精神科病院では、入院者のうち希望する者を、病棟ごとに職員が風俗に連れて行くそうだ。病院に長期入院している中で、性的な自己確認を行うことは大切だと思う。長期入院している人の社会復帰の第一歩はまず異性でしょう。
ぼくは昔、身体障害者の施設にボランティアに行っていたときに、彼らをやはり風俗に連れて行ったことが何回かある。ご存知のように、施設では性はタブーだった。
『私は障害者向けのデリヘル嬢』(大森みゆき著、ブックマン社)という本では、家の人に見つからないように打ち合わせをして、デリヘル嬢がこっそり裏口から、近所の人にも見られないように重度障害者の家に行く様子が描かれている。
ワーカーになるまで。なってから
5年ほど前、精神科ソーシャルワーカー(PSW)の国家試験を受けようと思って、受験資格を調べた。現任者なら即受けられた。現任者とは、現場職員経験5年だけで、たとえ高卒でも国試を受けられる制度で、移行期間中だけに設けられたものであった。
病者にストレスをかける
ぼくは、2度目の退院をした30歳の時に、患者が自由にくつろげる場所を作ろうと行動を始めた。資金作りとしてバザーや駐車場経営などを通じて150万円を集め、ムゲンのオープンにこぎつけた。
誰もが自由に出入りでき、仕事を強制されることもない、理想の実現だった。しかしそれには、場の維持に専念できる健常者の存在が必要だった。ぼくもその頃は、今と比べずいぶん甘ちゃんで、奥さんを全面的に頼っただけではなく、ぼくの理想=「病者至上主義」にそぐわないと、メンバーの肩をもって、健常者である奥さんを責めたりもした。