消えた年金の解決についてのスケッチ
年末のC型肝炎訴訟では、和解の政治決断をしていれば男になれたのに、絶好の機会を逃した政府。その後やっと議員立法での和解を決断したようだ。与党の予算案が発表されたが、「障害者自立支援法」も、限りなく応能負担に近づけるけれど、絶対「応益負担に戻す」とは言わない。言ってしまうと、応益負担を導入した責任を与党、厚労省が認めることになるから。
というわけで年末に書いているブログですが、皆様明けましておめでとうございます。
さて、不明の年金加入者の40%の年金記録がないと問題になっている。
この解決にはベーシックインカム(BI)の導入しか解決方法はないだろうと思う。BIとは、全国民に無差別平等に一定額を支給することである。たとえばその額を障害基礎年金2級額、老齢基礎年金の最高額の8万円ちょっとに設定したい。これで、消えた年金の最低額はすべての人に保障されることになる。
障害年金1級の人はBIに上乗せ支給、生活保護の人もBIに上乗せ支給。そうすれば、厚労省関連の公務員の人件費も大幅に削減できる。厚生年金は段階的に解体、BIと基礎年金に一元化し、BIプラス、年金の掛け金増による受取額増の仕組みを作る。厚生年金の負担がなくなった代わりに福祉税、環境税を事業主が負担。移行措置や訴訟対策は東大出の官僚たちに考えてもらおう。
BIの導入で、3人家族の母子家庭なら24万円ほどが支給され、生活保護なしでも最低生活ができ、しかも生活保護にあった制約がすべて取り払われる。クルマだって必要であれば乗れるし、大学に行かせようとすれば行かせられる。若者はBIを使って、ボランティアに精を出したり、世界を放浪して見識を深めたり、好きなスポーツに打ち込んだり、食えないミュージシャンとして生活することもできる。
さて財源だが、まず、現在の所得税の最高税率は50%だったと思うが、昭和の時代の75%まで戻す。法人税率も上げる。関税も上げることによって、高い国産品に国内競争力を付け国内産業を育成する。これでたぶん物価は上がるが、国際価格の影響が減り安定はするだろう。経済成長も止まるかマイナスだろうが、BIがセーフティーネットになるから、国民生活の心配は少ない。
防衛費も削り、もう大国を目指さず、アジアの小国としてひっそりと生きていけばいい。こういう中間層以上の収入の人に痛みを強いる、自分の身の丈を知る改革をやってもらいたい。
BIの財源としてまだ足りなければ、消費税アップだが、税体系を根本的に見直したほうがいいだろう。食料品、生活必需品は無税、クルマなども150万円以下と150万〜300万円、それ以上で税率に段階を付けるなど、贅沢品からは大きく取るようにする。ガソリン税も道路特定財源から環境税に転換したらいい。福祉財源を全部消費税でまかなおうとする考えはさもしい。金持ちの所得を再分配することが当然だろう。
環境産業を起こすのもいいだろう。土地が余っている農家に風力発電や太陽光発電を奨励し、電力会社に売ることのできる電力の限度を、現在の全電力の1%から、ヨーロッパ並みの15〜20%程度にまで引き上げる。これで起こる電力供給の不安定化に、環境税などを投入する。ミサイル防衛なんてアニメみたいなことに夢中になってないで、温暖化に本気でつぎ込まないと人類は滅亡する。石破防衛大臣はUFO好きだし、オタクかもしれない。しかし、アメリカのバイオ燃料の増産政策は明らかにおかしい。世界中で10億人が飢餓なのに、食料のトウモロコシで先進国のガソリンを作って、温暖化による大干ばつと重なって世界の食料価格を高騰させている。
加えて、行政官僚組織の透明性の確保のため、ガラス張りの情報公開も大切だ。年金だって情報を出すの出さないのともめてないで、政府機関の公的記録はいつでも誰でもアクセスできなといけない。
ぼくの妄想的考えは、グローバルな大量消費国家から、もったいない主義引きこもり国家への転換だ。国家という言葉は好きではないけれど、「国境などなくしたら」などと言えば、国民の大多数が反対し、公務員全員は命がけで敵対するし、妄想が出たと言われるかもしれない。
しかし自民党も民主党も「大国」という言葉が好きだし、G8は新自由主義を変わらず押し進めている。現実はぼくの妄想の方向に向かおうとはしていないから、余計ぼくは自分の妄想に凝り固まる。
コメント
BIの利点に一つは、収入調査に掛かる経費をなくすことにもあるというわけで、消費税だけでいこうという考え方もある。
すべての消費財の値段には、法人税をはじめとする、諸税が結局転嫁されているのだから、という考え方だ。
つまり多く消費するものが、多く払うということになる。こうすれば、企業の国際競争力は伸びるという。
消費税に、基礎消費財は安く贅沢品は高くというランクをもうけるのは当然であり、わりと簡単だ。
問題は、株や為替の取引で得られる所得だが(これらの取引は生産物を産み出さない)、これは捕捉して税をかけるのは、それほど手間はかからない。市場を監視して一定の税をかければよいだけだからだ。
但し、国際的取り引きになると、最後にはトービン税が必要になる。現在、数多くの租税回避地=タックスヘブンがあり、国際的企業はほぼ全てそれらを利用して、税金を逃れている。トービン税の実現には世界中の協力が必要だ。従って、トービン税の実現を目指しながら、当面はそうした大企業への法人活動税を国内的には高くすると同時に、大資産への相続税などの資産課税を考えるべきかも知れない。
資本の流出は起こるだろうが、日本で財を持ち、活動をする限りは、捕捉は比較的たやすいだろう。
RYUGANさんこんにちは。
トービン税は知らなかったので検索してみました。
http://altermonde.jp/tobin1_html
投機筋が税金逃れしていることが問題になっていると聞いていたので、素晴らしいと思います。コンピュータプログラムで課税出来るというのがいいです。
実体経済の3倍もの投機マネーが動いているといわれていますから、国際連帯して実現すればいいです。課税逃れに国際的なマルサのようなものが、将来は必要になるかもしれません。
金持ちへの課税を強めれば、資本流出が起こるといいますが、トービン税で、これにも道筋がつくような気がします。
福祉を充実させ貧困をなくして、健全な中間層がほとんどを占めれば、消費税も払いやすくなると思います。
「知足の国」を目指そうということですね。基本的には賛成です。
8万円X1.27億人≒120兆円・年となります。
これからBI非該当者を差し引けば(例えば年収300万円以上)半分の60兆円くらいにはなるでしょう。
歳入の方は全てを10%にし、ITを積極活用すれば、管理コストは劇的に減るでしょう。隠れた所得も補足できるでしょう。
「全てを10%」とは、消費税・所得税・法人税・相続税・健康保険料などなど、例外なしに全てです。BI対象者にも所得税を払ってもらいます(投票率も格段に上がるでしょう)。
因みに小生は、適度の格差を是とする立場です。
やはり実家暮らしでも、最低限月10万ないと、暮らせません。最低保障年金は、消費税ではなく、大手の法人や防衛関係から取る。
都会と地方の受給額を違えたり、物価スライドにしましょう。
豊田さん、こんにちは。
BI非該当者は作らない、というのが、ひとつのミソです。金持ちにも平等に配るから、金持ちの不平等感がないし、公務員の人件費削減につながる、という考えがあります。
たしかに10%固定にすれば、人件費の大幅削減にはなりますが、まず現在の制度からの移行措置が極めて難しいでしょうね。それに、現在の貧乏人からは取らずに、金持ちから取るという税制の基本的な考えは、好きなのですが。だから消費税については最後の手段だと思うのです。豊田さんは小さな政府的考えなのですね。
ハイドラさん
老齢基礎年金の最高額にBIを合わせるのは、年金一元化への移行がしやすいということに他なりません。もちろん、BIに上乗せで生活保護3万支給されば、11万になります。あと、地方と都会の格差は、環境産業を興すことも提案していますが、考えないといけないですね。物価スライドは移行後、どうにでもなります。
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