ページの先頭です。

ホーム >> 福祉専門職サポーターズ >> プロフェッショナルブログ
佐野卓志の「こころの病を生きるぼく」 2007年12月

専門職ということ

 ぼくは、病者としてのアイデンティティを支えに生きてきた。病者として本を出して、社会的評価を受けた。ワーカー協会の人からも、ぼくの存在は必要だと言われたが、うるさく当事者の権利主張をするので、本当は煙たがられているのだと最近悟った。そして今、必要とされてブログを書いている。これらは、狭い作業所ムゲンの中から飛び出し、世間的評価を受けることによって、ものすごいぼくの自信につながった。
 結果、ぼくは病者というより「普通のオヤジ」になった。自分を専門職と思ってきたことは一度もなかった。専門職にふさわしくあらねばと、コンプレックスになった時期はあったけれど。でもぼくは、場面と役割によって考えて発言をする、などという器用な真似はできない。どこの会合に出ても本音でしゃべってしまう。



認められること

 前々回の「緊急抗議!」で書いた保護費基準額の削減は、今回はひとまず見送られた。世論の反発が予想以上に強かったことと、予定されている衆議院選挙への悪影響が懸念されたようだ。しかし、小泉内閣のときの骨太方針による福祉削減は揺らいでいないから、引き続き警戒が必要だと思う。



安心して休める会社

 べてるの家は、年商10億を稼ぎ出しておきながら、安心して休める会社でもあるそうだ。
 安心して休める居場所として運営すれば、授産施設あるいは作業所の売り上げは落ち、メンバーの給料は少なくしか保障できなくなる。働く場所として給料を上げようと思ったら、安心して休める居場所としての機能を犠牲にして、メンバーにハッパをかけざるをえない。シーソーのようなもので、どちらに重点を置くかは、その授産施設や作業所が試行錯誤で決めていくものだと思う。



緊急抗議!

 2008年度からの生活保護費基準額の削減が事実上決まった。
 老齢加算の廃止、母子加算の廃止へと進んできたが、ついに本丸に攻め入った感じだ。
 ムゲンは生活扶助基準額削減に反対する団体署名をやったが、政府にはつゆほども届かない。想いをこめて、舛添厚生労働大臣にメールもしたが、目に触れることはないだろう。
 なぜ今削減なのか。原油高、小麦高で物価は上昇している。実際スーパーでの砂糖の価格は以前の1・5倍になっている。おまけに消費税値上げも議論されている。いつから日本はこんなに弱者に厳しい国になったのか。思えば自己責任論の小泉改革から変わってしまったように思う。



ページトップへ
プロフィール
佐野 卓志
(さの たかし)
1954年生まれ。20歳(北里大学2回生)のとき、統合失調症を発症、中退。入院中、福岡工業大学入学・卒業。89年、小規模作業所ムゲンを設立。2004年、PSWとなる。現在、NPO法人ぴあ、ルーテル作業センタームゲン理事長。著書に『こころの病を生きる―統合失調症患者と精神科医師の往復書簡』(共著、中央法規)『統合失調症とわたしとクスリ』(共著、ぶどう社)。
ムゲン http://www7.ocn.ne.jp/~lutheran/
sanobook.jpg
メニュー
バックナンバー
その他のブログ

文字の拡大
災害情報
おすすめコンテンツ
福祉資格受験サポーターズ 3福祉士・ケアマネジャー 受験対策講座・今日の一問一答 実施中
福祉専門職サポーターズ 和田行男の「婆さんとともに」
家庭介護サポーターズ 野田明宏の「俺流オトコの介護」
アクティブシニアサポーターズ 立川談慶の「談論慶発」
アクティブシニアサポーターズ 金哲彦の「50代からのジョギング入門」
誰でもできるらくらく相続シミュレーション
e-books