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南雲明彦の「発達障害と生きるということ ~当事者からのメッセージ~」

あるNPO団体との出会い

 アルバイトには果敢にチャレンジしていましたが、何度も挫折を繰り返しました。「読み書き」がうまくいかないということが、ここまで理解されず、「怠け」として捉えられるのかと思い知らされ、路頭に迷うような日々が続いていました。しかし、諦めるわけにはいかない。高校卒業という節目を乗り越えたことによって、心の中に「希望の灯火」が弱々しくも光りはじめていました。そこで、ボランティアという立場で社会と関わろうと、母校のアットマーク国際高校の先生達に協力いただき、NPO団体の訪問を始めました。そして、自分にマッチしそうな団体のボランティアに参加し、なんとか社会との繋がりを保とうとしたのです。

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 そうして、あるNPO団体を訪れたときに、「ディスレクシア」という言葉を初めて耳にしました。当時、日本にディスレクシアに特化して活動する団体というのはわずかしかなく、本当に運が良かったと思います。そこで知ったディスレクシアの特徴は自分の状態と酷似しており、「そうか、そうだったのか!」と自分の今まで苦しんできたことの正体が明確になり、心の中で絡まっていた糸が少しずつ解けていくのを感じました。

 さらに、この団体の代表から聞いた、「アメリカ、イギリスではディスレクシアは認知されているが、日本では認知が進んでいない。しかし、日本には5%程度はディスレクシアの人がいるでしょう」との言葉が印象に残りました。それから私は、人に会うたびに「ディスレクシアを知っていますか?」と聞いてみましたが、やはり知っている人は皆無でした。

 私のように、「自分が何者なのか?」と悩んでいる子どもはたくさんいます。しかし、これからの子ども達には自分のような経験はしてほしくありません。少なくとも、「ディスレクシアの認知不足」により、「運」で、子ども達の人生を左右することは、あってはなりません。そのために、この世の中を変えていきたい。
 しかし、何をすべきなのかわからず、まずは様々な講演会に参加して、「発達障害」とは何なのか? ということを知るところから始めました。

 その矢先、ある講演会で「ディスレクシア当事者」として話してほしい、という依頼をいただきました。そして、その場で埼玉新聞社から取材を受けたのです。まさか、これが啓発活動をスタートするきっかけになるとは、想像もしていませんでしたが…。

 次週は啓発活動を本格化した、自分の決意を書かせていただきます。


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プロフィール
南雲 明彦
(なぐも あきひこ)
アットマーク明蓬館高校
共育コーディネーター
1984年生まれ。21歳の時に自身が発達障害の一つである「ディスレクシア(読み書き困難)」であることを知る。その後、「ディスレクシア」の存在が世の中に知られていないことから、啓発、支援活動に尽力中。
著書に『僕は、字が読めない。~読字障害(ディスレクシア)と戦いつづけた南雲明彦の24年~』(小菅宏著/集英社)、『私たち、発達障害と生きてます~出会い、そして再生へ~』(共著/ぶどう社)がある。
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