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南雲明彦の「発達障害と生きるということ ~当事者からのメッセージ~」

「読む・書く」だけではなく「聞く」ことにも困難が

 読む、書く、聞く、見る…など学習に不可欠な能力のどれかに困難が生じた場合、学校に行きづらい要因になってしまいます。
 これまでは「読む、書く」の困難についてお話してきましたが、実は私はもう一つ「聞く」ことも苦手でした。「聴覚過敏」をもっていたのです。

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 発達障害の人には、「聴覚過敏」をもっている人が少なくありません。この「聴覚過敏」は、「音を拾いすぎる」ために、本人に非常にストレスがかかり、パニックを起こしてしまう一因になるものです。たとえば、教室で「あらゆる音」を耳が拾ってしまうとしたら、どうなると思いますか? 子ども達が私語をしていて、先生に「静かにしてください」と注意されたとします。その後、誰も何も話していません。一般的には、この状況は「静かな環境」になると思います。しかし、聴覚過敏をもっている人達は、その中にいても、「うるさい」と感じてしまう可能性があります。

 私の場合、「教科書をめくる“音”」「ノートに文字を書く“音”」「椅子や机をひく“音”」「外を車が走る“音”」などが無意識にどれも同じ音量で入ってきました。その中で、肝心の「先生の話す“声”」を聞き分けるには、とんでもない労力が伴います。他の人からしてみれば、「うまく、聞こえていない」というのは、「耳が悪い」とか「注意して聞いていない」ということになります。まさか、“聞こえすぎていて、聞き取れていない”なんて、想像もしないと思います。

 私は、授業についていけないことから、完全に自信を失い、「不登校」になり、家から出ることができず、「引きこもり」の状態になります。もちろん、「不登校」も「引きこもり」も状態は様々なので、あくまで主観的な意見ですが、「みんなと一緒に勉強したいし、過ごしたい」と思うのが普通なのではないでしょうか? それができなくて、悩み、もがき、苦しむのです。

 「想像していない」ところで、悩んでいる人がいることを忘れないでおいていただきたいと思います。一人でも理解者がいるだけで、全然違う未来が待っている可能性があります。
 どうか、そのような「孤立した子ども」を見過ごさないであげてください。よろしくお願いいたします。


コメント


 ありがとう。息子が、「教室はうるさい」と言うのも、「聴覚過敏」かもしれませんね。
 なかなか理解できないことを、解りやすく表現していただき、感謝です。


投稿者: 瑠莉 | 2010年05月02日 07:30

 お返事が遅くなり、申し訳ありません。

 少しでも、息子さんの「教室のうるささ」が代弁できたことは、とても嬉しく思います。
 案外、同じように感じている人は多いのです。

 だからこそ、沢山の人に知っていただく必要性を感じています。


投稿者: 南雲 明彦 | 2010年05月08日 16:28

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
南雲 明彦
(なぐも あきひこ)
アットマーク明蓬館高校
共育コーディネーター
1984年生まれ。21歳の時に自身が発達障害の一つである「ディスレクシア(読み書き困難)」であることを知る。その後、「ディスレクシア」の存在が世の中に知られていないことから、啓発、支援活動に尽力中。
著書に『僕は、字が読めない。~読字障害(ディスレクシア)と戦いつづけた南雲明彦の24年~』(小菅宏著/集英社)、『私たち、発達障害と生きてます~出会い、そして再生へ~』(共著/ぶどう社)がある。
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