発達障害の人たちの抱える困難さ
私の抱えている「ディスレクシア」という障害は、これまでもご説明した通り、大きな枠で言えば「発達障害」の仲間です。今回は発達障害の中に含まれる「ディスレクシア」とは違う種類の障害、「学習障害」「AD/HD」「アスペルガー症候群」について説明します。
まず、「学習障害」は、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算」「推論」する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す状態を言います。ただし、医学的な定義と教育的な定義が違っていて、説明する人によって能力のうちどこまでを指すのか若干違う場合がありますのでご注意ください。「ディスレクシア」もこの「学習障害」の中に含まれます。
「学習障害」の困難について、一例として、「計算」について考えてみます。「計算」が著しく困難な場合を「算数障害」と呼びます。「計算ができない」この状況は、想像以上に本人にとって苦痛です。なぜなら、「数字」は、文字同様に、社会の至る所にあるからです。生きていく上で、避けられないものです。
学校でも、「九九」ができなければ、ずっと反復練習を強要されます。「算数障害」にも様々なタイプがありますが、「足し算」「引き算」「一桁の計算」で苦しんでいるような人にとっては、「掛け算」はとても高いハードルです。学校の先生からすれば、「こんなの簡単でしょ?」「できて当たり前」と言うふうに思っていることも多いのですが、それがどうしてもできずに苦しんでいる人たちがいます。
続いて、「AD/HD」(注意欠陥・多動性障害)は、多動性、不注意、衝動性が主な特徴です。
「自然と勝手に体が動いちゃうのです。」
これは、あるAD/HDの人から言われた言葉です。動き続けられるということは、働き者のような印象があります。
しかし、例えば、学校の朝礼。体育館で、校長先生の話なんかを聞いたりします。そこで、いつも動いている人がいたらどうでしょう? 会社の会議で、いつも、ふらふらしている人がいたら? 当然、注意をしますよね。しかし、本人はじっとしていた方がいいって、わかっているのです。でも、じっとしていられません。
忘れ物が多い人もいます。不注意で、宿題を出されていたこと自体を忘れたり、提出する為の書類を忘れたり。でも、なかなか改善されない。それが続いたら、人間関係に不具合が生じてしまいます。
さらに「アスペルガー症候群」は、対人関係の障害や、他者の気持ちの推測力に著しい困難がある状態です。
「みんなから、本当に空気が読めないって言われちゃうんです」
これは、アスペルガー症候群の人から言われた言葉です。
最近は、死語になりつつありますが、「KY(空気が読めない)」という言葉がブームになりました。この「KY」という言葉は、相手を茶化したりする時に使います。しかし、この人たちは、「それが、まずいこと」ということだと認識できず、苦しんでいることがあります。「人の気持ちを汲み取ろうとするけれどできない」これも想像以上に苦しいです。
しかし、発達障害の人たちのもつ困難は、もし周りの人々に発達障害に対する理解があれば、手助けをお願いすることができることばかりです。そのために、まずは、その「障害」に対しての、「偏見をなくしていくこと」。これは、とっても大切ですね。
最後になりますが、発達障害であるかどうかは、診断基準にしたがって医師がしっかりした目で見て判断するものです。私が今述べたようなことに「あてはまる」からといってすぐに「あの人は発達障害だ」などとレッテルを貼るようなことがないようにお願いいたします。
コメント
こんにちは。毎週楽しみにここを開き勉強させてもらってます。南雲さんの公演に一度足を運んでみたいと思っています。岐阜や名古屋での公演の予定はありますか?これからも南雲さんのブログを読んで理解を深めたいと思っています。
k0bacchiさんへ
コメントを頂き、ありがとうございます。
そして、いつも、お読み頂き、ありがとうございます。
現在、公演は全体的に行われない時期であり、関係者のみの公演となっている場合が多く、すぐにご紹介できるものがございません。
申し訳ありません。
しかし、このブログに書いてある自分の生い立ちについては、私をモデルにした本「僕は、字が読めない。」(集英社)(「南雲明彦」で検索して頂ければ、アマゾン等を通じて、ご購入が可能です。)をご覧頂ければ、包み隠さず、自分のことが書いてありますので、ご参考になれば幸いです。
なお、公演情報については、随時、もう一つのブログ(http://ameblo.jp/nagumo-akihiko)でご案内差し上げておりますので、こちらの方もご参考になさって頂ければと思います。
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