出前講座のひととき
地域福祉活動の一つとして、認知症に関する「物忘れ知らず教室」出前講座を長らく続けています。地元の老人クラブやいきいきサロンに招かれての、認知症の正しい理解や健康「脳活」体操と称した、「笑顔」をテーマにした介護予防教室です。
「笑う門には福来たる」ということで、せっかく集まったからには、楽しい雰囲気を皆さんとつくり、ともに考え、頭と身体と心に響く講座を心がけています。参加している多くの皆さんは、腰痛、関節痛、骨粗鬆症、高血圧、糖尿病などさまざまな持病をもっているといいますが、そのような様子がわからないほど「元気」な皆さんです。一病息災とはよくいったものです。そして、何かにつけて「楽しもう」という雰囲気が漂っています。
今回の講座の終盤で、参加者の一人から、直球の質問というよりもその人自身の近況が飛び出してきました。
「近頃物忘れがひどくてさぁ~。医者にいって検査してもらったよ。そして、いろんな検査をしたよ」
と検査の様子を話し始めたのです。私は内心「いゃ~、そこまで検査の内容を覚えているということは、凄いよぉ!」と思いましたが、その話の終わりがとても印象的でした。「いろいろと物忘れが気になって不安なんだけれどもさぁ。それでも、かぁちゃん(妻)の顔だけは忘れたくないからなぁ!」と語っていました。
会場からは、優しい笑いと「まぁ~ごちそうさま!」と、参加者からの言葉が飛び出しました。
生身の人間である限り、身体は時間とともに変化していきます。けれども、この男性をはじめとした参加者からは、その変化と向き合い、今、そしてこれからの生活を大切にしていきたいという思いが伝わってきました。これは、紆余曲折な時を深く活きてこられたからこそ、できる雰囲気ではないかと思うのです。
いろいろな生きざまが集う出前講座の参加者からは、毎回いろいろな形の元気をいただいています。そして、今回は「今日の話100点でしたよ。またおいでよぉ!」と、元教員だった86歳の先生から花丸の言葉をいただくことができました。
コメント
こんにちは、いつもお世話になっています。
「物忘れ知らず教室」ネーミングをパクらせていただいて、月1回のペースで開いています。
~あたまとこころををほろかして、ついでに身体も動かして~
先日の教室の最後に
「認知症川柳 in 若狭」の受賞作品をみなさんと味わいました。ちょこっとご紹介させて下さいね。
「父の好物並べ 嬉しそうに帰り待つ母 写真の中で父さんも笑ってるね」
「5回目の「何年生?」にも素直に答える娘にちょっとすくわれる夏の日」
「夜中 玄関にいる祖父に母は暖かいお茶を手渡し 一緒に飲んだ」
「雨の中パンジーに水をやる母 そっと傘をさしかける父」
「捜し捜して橋の上 夕焼小焼を歌って帰る」
「大丈夫 大丈夫 そのままで みんなちゃんと分かっているからね」
「雨の日いつも傘を持って 迎えに来てくれたばあちゃん 今度迷子になったら いつでも迎えにいくから…ネ」
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