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永島徹の「風」の贈り物 2009年04月

出前講座のひととき

 地域福祉活動の一つとして、認知症に関する「物忘れ知らず教室」出前講座を長らく続けています。地元の老人クラブやいきいきサロンに招かれての、認知症の正しい理解や健康「脳活」体操と称した、「笑顔」をテーマにした介護予防教室です。
 「笑う門には福来たる」ということで、せっかく集まったからには、楽しい雰囲気を皆さんとつくり、ともに考え、頭と身体と心に響く講座を心がけています。参加している多くの皆さんは、腰痛、関節痛、骨粗鬆症、高血圧、糖尿病などさまざまな持病をもっているといいますが、そのような様子がわからないほど「元気」な皆さんです。一病息災とはよくいったものです。そして、何かにつけて「楽しもう」という雰囲気が漂っています。



一票に、一人ひとりの思いを込めて

 先日、事業所のデイの送迎をしている時のことでした。
 最近、私の町で市長選挙・市会議員選挙が行われました。選挙の光景といえば、さまざまな表情が掲示される選挙ポスターや選挙演説、選挙カーというイメージがあります。そのとおりの光景が、朝の集会所に向かう送迎車に乗っている私たちの目に飛び込んで来ます。



魂を込めた社会資源たち

 数年前より幾人かの成年後見を担当している私は、成年後見活動をしている中で、とても心強く感じることがあります。それは、理解ある人たちの支えです。
 成年後見活動ばかりではありませんが、生活支援をしていく上で必要なことが専門職や制度などの社会資源です。例えば在宅生活の見守りをしていく中で、定期的に訪れるヘルパーの何気ない心配りの中で、近隣の理解者をさり気なく促し、プライバシーに気をつけながら生活支援をしてくれること。またある時は、施設サービス利用が必要な状況になったとき、制度を上手に活用して利用料金を減額するばかりではなく、施設を利用しやすくするために、環境の雰囲気をすぐに調整し、受け入れてくれる施設職員などです。



雪がとけたら…

 毎年この季節になると、春先に見られる雪解けについて、私たちの集会所に集う方々に質問したことを想い出します。その時の皆さんは、いつもながら穏やかに応えてくれました。そこから醸し出す雰囲気には、一人ひとりの思いがあふれ、「世界でたった一人の個性」が見られたのです。
 その時、聴いたことを一つの詩にまとめてみたのが「雪がとけたら」です。今では集う皆さんの顔ぶれも多少変わってきましたが、当時話した光景は、私の脳裏に焼き付き、今でも活き活きと走馬燈のように蘇ってきます。



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プロフィール
永島徹
(ながしま とおる)
NPO法人「風の詩」副理事長。社会福祉士、ケアマネジャー。大学卒業後、青森県にて精神科ソーシャルワーカーとして精神障害回復者の社会復帰活動に従事した後、郷里である栃木県へ戻り、特別養護老人ホーム併設の在宅介護支援センターに勤務し、地域の中で生じているさまざまな介護上の諸問題についての相談等に応じる傍ら、ケアマネジャーとして介護サービス利用者がより良い生活を過ごしていけるようにと活動。その後、縦割りではなく複合的な地域福祉の拠点を創ろうという計画で、NPO法人「風の詩」を設立、現在に至る。

【永島徹さんの最新刊】
『必察! 認知症ケア 思いを察することからはじまる生活ること支援』
著者:永島徹
定価:¥1,890(税込)
発行:中央法規出版
ご注文はe-booksから
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