島根での出会いに「だんだん」
3月11日。まだ夜明けには早い午前3時30分。暦では3月になったけれども、まだまだ明け方は冷える時期。
早朝から仕事に出かける準備をし、始発電車に間に合うようゴソゴソと身支度を始めました。今回は、島根県介護研修センター主催の認知症介護研修講座で講演の話をいただき、その講演会場に向かうため、早朝より準備をしていたのです。
いつもそうですが、今度の講演ではどんな方々にお会いできるのかと思いをはせながら、島根県に向かいました。
会場のある島根県松江市は天気も良く、清々しい海風が迎えてくれました。夕日が綺麗とされている宍道湖夕焼けスポットを横目に、研修会場に急ぎました。
この日は午前から研修が行われており、午前の担当は、認知症介護指導者でありソーシャルワーカーの足立貴弘さんが、認知症ケアに関する最新情報などを交えた話をされていました。足立さんは隠岐の島で「NPO法人ふるさと工房」を立ち上げ、認知症高齢者の安寧できる住まいの提供から、島の子どもたちへの福祉教育に取り組まれ、これからのことにも大きなビジョンをもつ熱き実践講師でした。
私は午後の部で「必察!認知症ケア」の講演です。昼食後でどうしてもまぶたが重くなってくる時間帯にもかかわらず、わずかな休憩時間のみで3時間の講演を聴いてくださった参加者の皆さん。日頃から認知症ケアに関心があり、実践されている方々です。
参加者の中には、「病院のない島(診療所のみ)“生まれ育った島で最期を迎えたい“という想いを叶えていきたい」ということで、活動されているNPO法人看取りの家なごみの里のスタッフもいらっしゃいました。この法人の代表は柴田久美子さん。さまざまな「生命(いのち)」のあり方を問いながら実践活動し、その様子をまとめ伝えている方です。また、自身の家族が認知症を患ってしまい、日々のかかわりの中でいろいろと考えながら活動している参加者もいらっしゃいました。
そのような方々の話をうかがい、あらためて思うことがありました。私たち専門職も生身の人間です。身内や自分自身が病と遭遇したら、どう考え、どうしていくことが良いのかと悩むと思います。しかし、第三者的な視点で身内にかかわることは、非常に難しいことです。それは、抑えきれない「思い」という感情が出てきてしまうからです。これは決して悪いことではなく、当たり前のことです。だから、家族という絆がその関係性を強くしてくれるのでしょう。
極端な言い方ですが、専門職という有資格者はほかにもいて、ある程度替わりはききます。しかし、身内としての個人の替わりはできません。だからこそ、個人としての生き方も大切に考え、身内としてできることを無理のないようにしていく心がけが必要になってくると思います。
このように多くの皆さんとの出会いは、私自身が元気をいただくばかりでなく、これからの地域実践活動に参考になるアイデアやヒントがたくさん詰まっているのです。このたびの出会いから考えたことは、やはり、他人事として考えないで、自分に置き換えて考えてみる。そして、気づいたことを大切に、無理のないようにやり続けていく。その積み重ねがなじみを育み、そこから得られるエネルギーがあるからこそ、今日を、そして明日を生活(いき)ていけるのではないかということでした。
このような気づきをいただけた島根県の松江での良き出会いに“だんだん”です(「だんだん」出雲弁で「ありがとう」という意)。
主催者の島根県介護研修センターの皆さん(私の前にいるのが所長の梶さん。右が、唯一の男性職員で今回の講演を企画してくれた高田さんです)
熱心な眼差しに支えられ、熱弁する永島
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