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永島徹の「風」の贈り物

支えあいの輪

 本日、地元の社会福祉協議会のボランティア講座で講話をしてきました。
 ボランティア講座といえば、子どもや青年向けに、夏休みという時期を活用して行われますが、このたびの講座は夜7時から開催され、毎週金曜日に「地域の輪づくり」というテーマを掲げた企画で開催されました。
 夜に開催ということから、仕事や学校帰りの高校生と、年齢層も幅広い参加者の顔ぶれでした。さらに地元以外の町からも参加していて、この企画の関心度がうかがえました。

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 皆さんの参加動機は、「何か少しでもできることがあれば役に立ちたい」「なかなか勉強する機会がなくて」とさまざまでした。けれども、共通することはボランティアということで、身近でできることをしていきたいと思っている熱心な受講者でした。
 私が担当する2週目の講座では「認知症を理解し、地域で支えあおう」というテーマで認知症サポーター養成講座を踏まえた内容で話をしました。そこで、受講生たちに「認知症」というイメージをうかがうと、「健忘症」や「ボケ」という言葉が返ってきました。
 毎回このような講座の時には、参加者に必ずうかがっていることですが、「それでは、ボケとはなんでしょうか?」とたずねると「物忘れ」という言葉が一般的に返ってきます。
 さらに「皆さんは、物忘れをしたことはないでしょうか?」と再度問うてみると「あるある、挨拶してもあの人誰だったっけ? と思う時がある」「自宅の別室に、何をしにきたのか忘れてしまう時がある」など身近な体験ができます。
 「そんな時、どうしてもらうと安心しますか」ということをさまざまな話題で確認していくと、「誰かが教えてくれる」「さりげなく、やってくれると安心するのではないか」などの返答があり、1人だけでは安心した生活が難しいことに、改めて気づいてくれます。
 中には「みなさんの支えが必要ですね。今の私と変わらないわぁ」と応える受講生もいました。この受講生は最近、近所に住む認知症らしき一人暮らしの高齢女性のサポートをしているそうです。そしてこの受講生がサポートをしていて気づいたことは、「やっばり、お互い様で協力していけるとよいですよね」と講座修了後、コメントくれました。

 このことから改めて思うことは、私たちが今こうしているということは、自分自身一人だけの力ではなく、寄り添う家族、理解者たちの支えがあることを忘れてはならないこということです。
 一人で今を生きているのではなく、人と人との関係があって、今を、そして、これからも生活(いき)ていけるということです。このことは、当たり前のようですが、慌ただしい日々を過ごしていると、いつしかまわりの状況がみえなくなってしまい、人や環境に対して感謝の気持ちを忘れてしまうことが誰にでもあると思います。
 けれども、多くのなじみのある人や、身近な人からのさりげない励ましのおかげで、生活(いき)る力が湧き、心温まる思いが出てくると思うのです。そして、このあたたかい思いを紡ぎあうことから、地域の輪が広がっていくのではないかと思いました。
 受講生の皆さんやこの企画・運営している社協の皆さんに感謝です。

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全体の風景

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企画運営をしている、熱血社協マンの栗原さん(左。右は筆者)


コメント


 永島さん、2回目の講座では大変お世話になりました。今回は「地域の輪づくり」がテーマ・イメージでした。
 輪づくりといっても、何かを具体的にはじめることばかりでなく、まずは講座で「ああそうなのか」という気づきのようなものを、家族や友人、周りの人に「この前講座に行ってこんな話があったんだよ」と話題にしたり、考えたりというところから…
 それがいつしか大きな輪になって、それぞれがそれぞれの関わりの中で繋がって生活できる、そんな街にもっと地元がなるといいなあ、と思います。
 これからも文字通り地元の「風」としてご活躍ください。今後もよろしくお願いいたします。


投稿者: 栗原 | 2009年02月13日 21:54

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プロフィール
永島徹
(ながしま とおる)
NPO法人「風の詩」副理事長。社会福祉士、ケアマネジャー。大学卒業後、青森県にて精神科ソーシャルワーカーとして精神障害回復者の社会復帰活動に従事した後、郷里である栃木県へ戻り、特別養護老人ホーム併設の在宅介護支援センターに勤務し、地域の中で生じているさまざまな介護上の諸問題についての相談等に応じる傍ら、ケアマネジャーとして介護サービス利用者がより良い生活を過ごしていけるようにと活動。その後、縦割りではなく複合的な地域福祉の拠点を創ろうという計画で、NPO法人「風の詩」を設立、現在に至る。

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