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永島徹の「風」の贈り物

「成人の日」に思うこと

 今週の1月12日は「成人の日」でした。ハッピーマンデー制度の導入に伴い、2000年からは1月の第2月曜日が成人の日と変更されたの周知のとおりです。
 人によっては、土、日、月の三連休ということになりますが、介護の現場では、連休とは縁のない日々を過ごしている人が少なくないと思います。私もその一人で、デイホームのお仲間と一緒に、成人式ではしゃぐ若者の姿を見ていました。

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 成人の日は1948年、「1月15日は、大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます日」とされ、正式な祝日と定められました。このように成人の日を祝日としたのは、戦後物資も食料も足りない時代で、一番乏しいとされていたのは「人材」だったということ。そして、良い国を築いていくためには、国民自らが成長してもらわねばと考えた当時の役人たちが「子どもから大人になった自覚をもってほしい」との願いを込めてこの日を祝日としたという説があるそうです。
 そんな意味をもつ「成人の日」ですが、毎年のように大きくとりあげられるのは、式典などに参加し、はめを外してはしゃぐ若者の姿。その姿に、子どもから大人になったという自覚は感じられず、あまりに非常識な様子に言葉をなくしてしまいます。
 ただその一方で、成人とよばれるのにふさわしい若者がいてくれることも確かです。せっかくの「成人の日」なのだから、荒れる式典の様子などでなく、社会の中で責任をもって自らの役割を担っている若者の姿をもっともっととりあげてほしいと思います。あと数年後に成人を迎える子どもたちも、そんな先輩の姿から学ぶことは大きいはずです。

 デイホームに集う人生の大先輩は、自身の成人した頃をふりかえり、こんなふうに話してくれました。
 「あの頃は、成人を祝うどころじゃなかったよ。大人も子どももない。みんなが生きるのに必死だったんだ……」「生きるのに必死なままできちゃったよ…。だからなんとかやってこれたのかもしれないけどさぁ」
 私も、そんな人生の大先輩の話を聞きながら、いろいろと思いました。
 生きることは今も昔も変わりません。戦後の時代を生き抜くためには、「必死」で生きることが誰でも必要だったこと思います。その大先輩方のおかげで、便利な生活ができる時代になりました。先輩方が築き上げてきたこの時代を、私たちは「懸命」に活きることができる時代になったと思います。だからこそ、一人ひとりがどう自分らしさを表現して生活(いき)るかを、よく考えることが次の未来につながっていくと思います。
 『りんくる』編集長・尾崎純郎さんの受け売りですが、「未来は、今である」というエールを心から新成人の方々に贈りたいと思います。


コメント


 こんばんは!わが息子は今年成人式でした。
 朝、スーツを着て慣れない手つきでネクタイを絞めているがうまくいかず、主人に絞めてもらい童顔と気にする息子。
 我が家は小学校の前なので、五歳の袴姿の時と同じ様にハイチーズと写真撮影して、さあ式場へ。
 帰ってから式の様子を聞くが、あばれた人はいなく、和やかに式も終わったと言う。懐かしい友達に会えたよと話し、夜は同窓会をやるんだよと話す。

 先生に相談があります。友達のお母さんは重い認知症ですが、家で楽しめるレクリェションゲームはありますか?
 寒いので風邪に気をつけてください。


投稿者: スズ | 2009年01月22日 23:46

 「スズ」さん、息子さんの成人おめでとうございます。
 20年という月は、長いようであっという間のできごとでしょうか?これからが益々楽しみですね。私も十数年前?!を思いでします。
 ところで、友人のお母さんの楽しめるレクリエーションゲームですが...。やはり基本は、その方のこれまでの生活の背景を、今一度ふりかえってみることから、良いヒントが生まれるかもしれません。
 つい私たちは、目の前に起きている状態や現象に目や心を奪われます。しかし、その状態や現象は突如として起きたのではなく、長い時間をかけています。そこで、これまでを確認していくことが大切だと思います。
 これは、レクリエーションになるかどうか分かりませんが、昔を振り返ることとして、アルバムやなじみのある道具や衣類、食べ物など触れて、見て、着て、使って、味わってみるということも一つあるのではないでしょうか?
 近代的なことが馴染むかどうか分かりませんが、歌が好きな方は、叙情歌などを時折NHKでやっています。そんなTVを見ながら口ずさんでみることもできます。
 どれかが、ご本人の思いを回想する切っ掛けになるのではと思います。
 ただ、気をつけなくてはならないのは、極端な一方的な思いだけで周りが始めてしまうと、周りだけの自己満足になってしまう時もありますから注意が必要ですね。
 やはり、相手にとっても自分にとっても心地よい時間が過ごせることが何よりです。嫌々やることは、誰もが嫌ですものね。


投稿者: 必察ソーシャルワーカー 永島徹 | 2009年01月24日 00:28

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
永島徹
(ながしま とおる)
NPO法人「風の詩」副理事長。社会福祉士、ケアマネジャー。大学卒業後、青森県にて精神科ソーシャルワーカーとして精神障害回復者の社会復帰活動に従事した後、郷里である栃木県へ戻り、特別養護老人ホーム併設の在宅介護支援センターに勤務し、地域の中で生じているさまざまな介護上の諸問題についての相談等に応じる傍ら、ケアマネジャーとして介護サービス利用者がより良い生活を過ごしていけるようにと活動。その後、縦割りではなく複合的な地域福祉の拠点を創ろうという計画で、NPO法人「風の詩」を設立、現在に至る。

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