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永島徹の「風」の贈り物

貴重な「人財」を育んでいこう

 先週、大阪で開催された日本生命財団主催の講演・シンポジウムに参加してきました。
 日本生命財団では約20年にわたり、国内の先駆的な取り組みをしている団体などに助成金を出し、毎年報告会と講演会を催してきました。他にもこのような助成金を出す財団はあります。
 そのような中、今年度は現在活動している地域福祉実践について、財団に応募しました。しかし…採用されませんでした。残念! 風の噂には最終選考までエントリーされていたと聞きました。そこで、再度チャレンジをしたいという強い思いから、今回の報告会に参加しました。

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 今年の報告会のテーマは「高齢者社会を共に生きる」ということで、地域福祉に関する第一人者とされる先生の講話や、実際に助成金をもらって実践した団体の代表者数名が、それぞれの地域で取り組まれた実践をとても熱心に報告されました。
 聴いた中で共通することとしては、「地域力」「ボランティア」「人」「居場所」「つながり」「認知症」など、今の福祉に関するホットなキーワードがあり、それらからどのようにして地域の実情にあったかたちに築きあげていくかでした。そこには、何よりもその活動に理解ある人材が欠かせないことは、発表者全員の共通の意見でした。

 そこで、この「じんざい」にさまざまな漢字をあてて細かなニュアンスを伝える例を挙げると、次のような紹介がされているのを見つけました(『ウィキペディアフリー百科事典』より)。
人材 一般的な表記。企業活動上での人的な「材料」との考えを示したもの
人財 技能等を習得し、長期にわたり企業を支え、利益をもたらしてきた人のこと
人罪 利益ではなく、企業に損害を与える人のこと
人在 言われた仕事しかせずただいるだけの人のこと
 私たちも含め、地域で営む一人ひとりは、どのような状況や状態になっても地域社会を支え育んでいくために必要な貴重な人材だと思います。そして、自分のもつ力を活かしていくことで、一人ひとりが「人財」となっていくのでしょう。
 それでは、私たち福祉専門職がその「人財」となっていくためには、どうしたらよいのでしょうか。専門職はどうしても、高齢者分野、障害者分野、児童分野など専門分野に偏ってしまいがちです。これは決して悪いことではなく必要条件であり、専門的なことを学びつつ実践していかなくてはなりません。
 しかし「生活」という視点で考えた場合、その「生活」にはいろいろなことが混じり合い成り立っています。たとえば、認知症高齢者の生活だけを見ていくのではなく、認知症高齢者の生活とそのかかわりのある環境(人・物・地域性)も見つつかかわらせていただくことが必要でしょう。
 生活はさまざまな関係性から成り立っていることを忘れてはなりません。このことを意識しつつ、他分野のことについて理解することが、生活(いき)ること支援になっていくと思います。そして、その支援に取り組んでいく一つひとつの実践に取り組んでいくことが、貴重な「人財」になると考えます。


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プロフィール
永島徹
(ながしま とおる)
NPO法人「風の詩」副理事長。社会福祉士、ケアマネジャー。大学卒業後、青森県にて精神科ソーシャルワーカーとして精神障害回復者の社会復帰活動に従事した後、郷里である栃木県へ戻り、特別養護老人ホーム併設の在宅介護支援センターに勤務し、地域の中で生じているさまざまな介護上の諸問題についての相談等に応じる傍ら、ケアマネジャーとして介護サービス利用者がより良い生活を過ごしていけるようにと活動。その後、縦割りではなく複合的な地域福祉の拠点を創ろうという計画で、NPO法人「風の詩」を設立、現在に至る。

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著者:永島徹
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