客よし、店よし、地域よし
今夏『必察!認知症ケア』を出版させていただいてから、少しずつ応援メッセージが届いてきました。
心温まるEメールやお手紙、すばらしい花束、南の島からメッセージなど、物理的距離に関係なく届く皆さんの思いがいっぱい詰まったメッセージは、心のエネルギーです。最近いただいたものには「必察は、認知症ケアに限らず様々な場面での応用ができると思います」という感想もあり、まさに「察する」という大切さに気づいていただき、ありがたく思います。
また、9月には新聞に紹介記事が掲載されたことから(毎日新聞・朝日新聞・読売新聞)、一般の方との新たな出会いが増えてきました。電話によるお問い合わせや、当法人の事務所に来所されて話をされていく方など、認知症になってしまった大切な家族にどうしていったらよいのかという介護者の切実な思いが伝わってきます。
匿名で電話をされてきた方は、次のように話されました。
「いろいろと相談しても、制度説明や料金説明ということが多く、実際に今私たちがどんな『思い』に直面しているのか。そしてこの不安をどうしたらよいのかに対しては、すっきりした答えがかえってこないのです」
私たち専門職は、つい自分の専門性を活かしたいという思いがあります。しかし、目の前に訪れた人が、ここに相談に至るまでどんな思いでいたのかを察することがとても必要だと考えます。相談する相手がたとえ専門職だとしても、初対面の人に話をするということは、とても勇気がいります。ましてや、家庭の事情など軽々しく話せるものではないでしよう。けれども、何とか今をより良い方向にしていきたいという必死な思いで、専門機関や専門職に相談に来ているのです。
「でも、忙しくてゆっくり話を聞くことが出来ない」と思う専門職の方もいるかもしれません。けれど、もう一度考えてみましょう。私たちは、何のために専門職として仕事をしているのでしょうか? もちろん、食べていくためということもありますが、それだけでこの仕事が勤まるのでしょうか。
私たちは「この仕事をしていて良かった」と、専門職の自己満足で終わってしまうだけではなく、相手も「良かった」と思ってもらえること。さらに、その様子を見ていた第三者にとっても「良かった」と思ってもらえるということ。まさに「客よし、店よし、地域よし」が出来たときに、私たちは専門職としての「達成感」を感じるのではと思うのです。
まずは、相手がどんな思いで皆さんの目の前にいるのかを察して(必察)みてください。きっと何か大切なことが見えてきますよ。
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