広がる認知症サポーターの輪
これまで幾度か、企業の認知症サポーター養成のお手伝いをしてきたことをご紹介しました。今回は、茨城県下妻市の「イオン下妻店」に行ってきました。
この企業は、全国各地にある店舗の改装などの機会に、職員向けに認知症サポーター養成を実施しています。小売業では、他にも研修を実施していかなくてはならない中で、この認知症サポーター講座を開催していくのはなぜでしょう?
和やかに受講される、イオン下妻店の皆さん
「商売の販促のためじゃないかぁ~っ」と言われる方もいます。もちろん、企業として収益を上げていくというミッションは絶対的です。しかしそれだけでなく、企業責任、地域貢献といった理念を含めた企業活動が注目されてきています。まさに、「客良し、店良し、地域良し」ということを目指しているのでしょう。そのためにさまざまな企画がなされ、その取り組みの一つとして認知症サポーター養成が位置づけられているのだと思います。中心となって企画している方が、次のように話してくれました。
「私たちはただ商品を紹介・販売するのではなく、その商品を通して、お求めになってこられたお客さまの生活背景をイメージしていくことで、気持ちを込めて商品の紹介・販売させていただくことをしています」
まさに、相手を「察する」という行為だと思います。私たち福祉専門職なども同様です。福祉サービスという手段を活用していくご本人やそのご家族が、今後どのような生活を営んでいくことを考え、望んでいるのか。そこに意識を集中し、声なき声(思い)を必察していくことが求められます。
現実的には、すべてのニーズが満たされることは難しいです。しかし、いかに「納得」できる生活を営んでいけるかということが重要でしょう。求めている条件全てが100%満たされなくても、わずかな可能性でもやってみたことで「納得」できることもあります。
私たちはこれから、いかに「納得」しあえる福祉サービス提供をしていくことができるでしょうか。そのためにも、今いる目の前の方々と察しあいながら、ともに考えていく関係性を育んでいきたいと思います。
※11月には、福祉科がある地元の高校での認知症サポーター養成講座の報告をしたいと思います。これから社会を担ってくれる若者たちの反応はいかに?
コメント
企業でも、認知症サポーターの心得を勉強して心得を知った上で商品を販売する気持ち大事ですよね?
先日も、テレビで認知症ケアサポーターの事をやっていました。
例1
ある認知症の老人がスーパーのお菓子コーナーで袋を開けてパクパクと食べていた。
例2
ゴミの日ではないのにゴミを出していた。
その場合の声の掛け方接し方はどうしますか?と有りました。 怒ってはいけないとか・・・これからは若者にも頑張って欲しいですよね? 私の息子は今、理学療法士になるため勉強中ですが、学校でも認知症の勉強をしているようです。
「ひーちゃん」さん
理学療法士というリハビリの専門職になられる学生さんたちの学びの中にも「認知症」を学ばれているとのこと。高齢者のみならず、若年性の方の「認知症」も含めたリハビリをどうしていくのか。このことについても、ますます重要になっていると思います。
認知症になろうとも、生活の営みは続いていますからね。これから楽しみな息子さんですね。
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