若年性認知症とともに生活(いき)る姿
「認知症」というと、高齢者をイメージする方が多いかと思います。どうしても高齢者の人数が多いため、世間の目は「年をとることで、認知症になる確率が増す」という見方になってしまうのでしょう。
しかし認知症は、高齢者ばかりが罹る病気ではなく、若い方にもみられる(若年性認知症)ことが、最近の報道ではよく紹介されるようになってきました。
この若年性認知症は、働き盛りの年代に発症するだけに、本人や家族にとって、高齢者の場合と内容が異なる深刻な課題があります。その一つは、働き盛りに生じる経済的な課題です。
このような状況の中、舛添厚生労働大臣の呼びかけで「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」が始まりました。そこでも、若年性認知症のサポートについていろいろと議論されています。就労支援についても話し合われ、ジョブコーチ(※)による就労支援が考えられているようです。
内容はともかくとして、誰もが感じることは、社会的に役割があることです。例えば、仕事をして収入を得ることは、生き甲斐につながる一つでしょう。この生き甲斐は、その人のもつ「らしさ」を豊かにしてくれるエネルギーです。
しかし、ここで気をつけていただきたいのが、安易に「若年性認知症の方に就労支援を」ということが主眼となった対応にならないことです。若年性認知症の方自身が、病気が進行して心身ともに変化してくることや、以前のように仕事がうまくできなくなっていることをどことなく感じていると思います。
春男さん(仮名)は、「働かなくちゃ! 働かなくちゃ!」としきりに話されていることがありました。春男さんのこれまでの生きざまを連察(れんさつ)すると、春男さんの人となりがうかがえ、大黒柱の春男さんらしい言葉が「働かなくちゃ」という表現になっていました。
このとき、ある方にご協力を願いました。実は、春男さんの勤務していた会社の社長の理解と協力をいただき、春男さんのこれまで何十年にもおよぶ仕事ぶりを讃える機会を設けてもらいました。そればかりか、しばらく傷病手当を継続してもらい、年金(障害年金)が受給可能になった時点で傷病手当を終了する配慮があったのです。
年金(障害年金)が無事受給できることになった時期に、改めて職場を円満退職することで、社長自らが、春男さんのこれまでの労をねぎらいました。そのときには、春男さんの誇らしげな顔があり、またどことなく寂しさも漂っていたのが印象に残っています。
その後、もともと忠実(まめ)な春男さんは、信頼する社長の勧めもあり、私たちとともにボランティア活動をする日々を過ごしました。今はもうその姿を見ることはできません。それでも私たちには、今でも春男さんが額に汗を流し、せっせとボランティアの活動に勤しむ姿が目に焼き付いています。
※ジョブコーチ…障害をもつ人が職場に適応できるようサポートを行う者のこと。「職場適応援助者」と呼ばれます。
コメント
今年の夏は暑かったですね。熱中症にかかられ大変なことに…その後いかがですか?
私も体温調節がうまくいかず、冷えぴたを首に貼り仕事していました。時に訪問した利用者さんに、首をどうしたの? と言われ、トクホンと間違えた(笑)。
最近、若年性認知症を聞きます。仕事のストレスや人間関係からくる精神的ストレスから? もしなった時、職場の人の理解や仕事をしていく上で支えが必要になって来ますね。明日はわが身?以前、渡辺謙の映画を見ました。お大事にしてください。
「ひーちゃん」さん。冷えピタを張りながらの仕事、お疲れ様です。やはり、私たちも生身の人間ですから、お互いに健康には気をつけたいですね。
ところで、若年性認知症についてやはり、いろいろとお聞きになっている様子。私もこのままではいられないと考えております。
「気づいたからには責任がある」と日頃から思っている永島としては、現在、若年性認知症の方々とそのご家族のお手伝いが出来ないかと企画中です。何か良いアイデアがあったら、教えていただけたらと思います。これからもどうぞよろしくお願いします。
※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。