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永島徹の「風」の贈り物 2008年08月

若年性認知症とともに生活(いき)る姿

 「認知症」というと、高齢者をイメージする方が多いかと思います。どうしても高齢者の人数が多いため、世間の目は「年をとることで、認知症になる確率が増す」という見方になってしまうのでしょう。
 しかし認知症は、高齢者ばかりが罹る病気ではなく、若い方にもみられる(若年性認知症)ことが、最近の報道ではよく紹介されるようになってきました。



焦らずに…と自分に言い聞かせる出来事

 地域福祉活動をしていこうと、6年前にNPO法人風の詩を興し、たとえ体調がすぐれなくても、1日寝れば回復して乗り切ってきたのですが…
 なんと不覚にも先日、高熱を出して2日間寝込んでしまいました。いわゆる熱中症です。いつもなら体調不良な時には、悪玉病原体?! を思い浮かべ、それを撃退していくという「イメージ療法」をしてきました。非科学的とは思いますが、人間のもつ自然治癒力を活かしていくのによいのでは? と勝手に思っている私です。
 地域福祉活動を始めて以来、「休むことはできない」と思い続けていたので、必死で体調を回復する努力をしていました。そこで、体調不良の時に「イメージ療法」をしていると、私には結構効果があり、不思議と次の日の朝には体調が回復していました。



ある夜のできごと

 ある日曜の夜でした。静まりかえった事務所に電話がなり響きました。壁掛け時計に目をやると10時半を回っていました。

 「こんな夜に何の電話だろうか?」と出てみると受話器の向こうから藪から棒に「お宅のおばあさんが今、家にいるんだけれどどうしたらいいかい?」ということ。その時、焼酎(泡盛)を少々飲んでいましたので、すぐにピーンとこず「うちのおばあさん!?…」、誰のことを話しているのか定まらずにいたところ、再び受話器の向こうから「ノートには、日本花子(仮名)って書いてあるんだよ」と更に情報を教えくださったことで私も合点がいきました。

永島「花子さんですかぁ。このような時間にいろいろとお手数をおかけします。」
相手「いまとりあえず、お巡りさんもきてくれるそうだけれど、一応そちらの連絡先が書いてあったので、電話してみたんだよ」



新たな生活を育むサポート

 最近、成年後見など権利擁護についての講話や相談の依頼が多くなってきました。生活をしていく上で、安心した生活を営みたいと誰もが願うことですが、さまざまな諸事情でどうしても公的なサポート(成年後見制度など)を活用せざるを得ないのです。
 私も成年後見人、保佐人として数件サポートさせていただく仕事をしています。特に新規でかかわらせていただく場合、本人のこれまでの生活(いき)てきた歴史についてていねいに必察していきます。人との関係や住んできた地域との関係、そしてそこから本人の「大切な思い」について察していきます。



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プロフィール
永島徹
(ながしま とおる)
NPO法人「風の詩」副理事長。社会福祉士、ケアマネジャー。大学卒業後、青森県にて精神科ソーシャルワーカーとして精神障害回復者の社会復帰活動に従事した後、郷里である栃木県へ戻り、特別養護老人ホーム併設の在宅介護支援センターに勤務し、地域の中で生じているさまざまな介護上の諸問題についての相談等に応じる傍ら、ケアマネジャーとして介護サービス利用者がより良い生活を過ごしていけるようにと活動。その後、縦割りではなく複合的な地域福祉の拠点を創ろうという計画で、NPO法人「風の詩」を設立、現在に至る。

【永島徹さんの最新刊】
『必察! 認知症ケア 思いを察することからはじまる生活ること支援』
著者:永島徹
定価:¥1,890(税込)
発行:中央法規出版
ご注文はe-booksから
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