『必察!認知症ケア』刊行記念インタビュー
実践者たちの「生活ること支援」に向けて
このたび、永島徹さんの著書『必察!認知症ケア』が刊行されました(中央法規刊)。今回のブログは趣向を変えて、著者として本書に込めた思いなどを、永島さんにうかがいます。
○認知症ケアは、「察する」ことから始まる
――NPO法人「風の詩」副理事長として、デイサービスや居宅介護支援事業所、社会福祉士事務所を軸に地域福祉に携わる永島さん。そもそも、本書を上梓することになったきっかけは何ですか?
永島 以前から私は、日常業務の中における利用者とのかかわりを記録していました。それは写真だったり、利用者の言葉だったりとさまざまですが、これらをいろいろな人たちに見て、読んでもらいたいなと思っていました。今回、出版社の方からそうした積み重ねをまとめる機会を与えていただき、書籍というかたちで刊行することができました。
――今まで温めてきた利用者からのメッセージをまとめたということですが、永島さんが本書に込めた思いを聞かせてください。
永島 それは本書を読んでいただくのが一番ですが(笑)、タイトルからもわかるとおり、認知症ケアという切り口をとってはいますが、それはあくまでも入口で、出口は私たちも含め、地域で暮らす生活者が豊かなかかわりを育んでいくことだと思います。「関係性」などといわれますが、人と人とはお互い察しあいながら生きています。認知症の人とのかかわりにおいても、察することがなければ物理的なケアになりがちです。察することで専門職としての気づきになり、自分自身のスキルを高めていくことにつながるのではないでしょうか。
認知症ケアを入り口に、地域ふくしを考える
法人格をとり、認知症に関する活動をしてきて6年になりました。
活動当初、今の拠点である栃木県佐野市(旧田沼町)には、認知症に関する介護サービスがない状況でした。当時は、毎月のように認知症ケアに関する医療・保健・福祉などの講師をお呼びして連続講座など開催したり、時には、多くの方や関係機関の協力のもとに、長谷川式スケールで著明な長谷川和夫先生や、認知症高齢者の生活支援をどう支えていくのかという実践取材をされてきたNHKの元解説委員小宮英美さんをお呼びした研修会を実施してきました。
そうこうしている6年という間に、認知症に関するさまざまな取り組みが全国各地で展開され、地元佐野市でも、認知症デイサービスが多くなりました。
貴重な日曜日のひととき
今年も暑い夏が到来しました。汗かきの私としては、非常に苦手な季節でもあります。何もしなくても汗がしたたれ落ちてくるので、傍目から見ると「なんでそんなに動いているの?」と思わせるほどです。
そんなある暑い日曜日の午後、妻や子どもたちを連れ、県内のある町で、一般の方々に向けた認知症サポーター養成講座を行ってきました。
振り返ることのできる場と時間を大切に
6月17日のブログで、認知症について理解を深めていくために民間企業が取り組んでいる、認知症サポーター養成講座について紹介しました。企業としてどう地域に貢献できるのかを考えていく姿勢は、私たち福祉専門職にも参考になることが多いと思います。
そこで今回は、最近私が福祉専門職向けに講演や講師をさせていただいた福祉専門職研修を紹介したいと思います。
新たな社会資源に、助かった~
6月のある朝、デイホーム「風のさんぽ道」の駐車場で、赤ちゃんすずめを発見しました。
どうやら、屋根の軒下に作られた巣から落ちてしまったようです。飛べるまでには成長していないものの、ある程度大きくなっていた雛は、命にかかわる傷を負うことはなく、短い羽でパタパタと飛ぼうとしているようでした。