企業の社会貢献
先日、千葉県幕張にある株式会社イオンの本社にて、認知症サポーター養成講座のお手伝いをしてきました。認知症の方やその家族にとっても、安心して買い物が出来る店になることを目指す試みとして実施をしてきたとのことです。
昨年の夏は、イオンモール盛岡店に勤務する職員全員に「認知症サポーター養成」を開催し、より安心して買い物ができる店を目指す(店内の対応)だけでなく、地域における福祉関係者との連携を図っていくことにも取り組んできたそうです。
こうした取り組みを始めたきっかけは、実際に認知症高齢者の方が店内で商品購入をされるときや、家族と買い物に来たときに、さまざまなサポートの必要性を感じたからとのことでした。
そういえば以前、映画「『県庁の星』で小売店の店員が、認知症と思われるおばあさんが汚れた枕をもってきて、「ここで買ったが、よく眠れないから返したい」と伝えたワンシーンを思い出します。このような場合、店員が仮に「認知症」について知っていたとしたらどうでしょうか…? 認知症の症状として、記憶力や判断力、見当識などの低下がみられるといった知識も頭の中に入っています。でもそれだけでは、相手に安心していただける対応は難しいのではないでしょうか。
前述の映画では、おかしなことを言ってくる人だという目でおばあさんを見て、対応に困り果てている他の店員の前で、柴咲コウ演じる女性店員は「あちらでお茶でも飲んで話しませんか」とおばあさんに声をかけ、場所を変えて話を伺うという対応をしました。そして話をした後に、おばあさんは安心した表情で帰られました。
なぜおばあさんに安心して帰ってもらえたのでしょうか。女性店員が「認知症」について知っていたからでしょうか…。それだけではないと思います。むしろ、認知症だから…という決めつけをせずに、不安そうな相手の様子から、相手の今の思いを察して、その思いと大切に向き合うことができていたからだと思うのです。知っていただけでは、「認知症の人の言うことは否定をせずに、上手に聞き流す」という対応で終わってしまうこともあり得ます。適当に聞き流されているということは、相手にも伝わります。それではなおさら不安になってしまうでしょう。
イオンでの認知症サポーター養成の話に戻りますが、まさに、不特定多数のお客さまを視野に入れた対応をしていく小売業者として、認知症についても正しく理解し、サポートができるようになるための努力を垣間見ることができます。広い視野に立って、お客さまの生活を見ていく姿勢は、私たち福祉専門職にとっても見習うべき視点だと思います。このような取り組みが、店内での対応にとどまらず、誰もが安心して暮らせる町づくりへと発展していくことを期待したいと思います。
イオンのオリジナルバッジになっています
紹介される永島です
事例を語っている様子
コメント
“地域でその人らしく暮らす”ことを視点としたケアマネジメントや地域密着型サービスが制度として進められている中、専門職やサービス事業者だけが認知症の人を理解し、抱え込んでいても、地域で暮らすことの実現は難しいですよね。
街の中の人たち、今回のようにサービス業の方々が「認知症サポーター養成講座」を開いてくださるって、とてもうれしいし、心強いことですね。
郵便局や銀行の窓口、スーパーやコンビニのレジ係の方、街の中のあちこちに、認知症サポーターがいたら、地域で暮らしていける可能性が広がっていきます。
閉じこもりが良くないといわれますが、やっと出かけてきた町で、不安や戸惑いを感じたとき、“さりげなく”町の人たちが支えてくれたら、
そんなまちなら、認知症になっても安心して暮らせるのかもしれません。
正しく認知症を理解することって、とても大切なことですね。
キャラバンメイトの活動、お疲れ様です。わたしも、ぼちぼちとやっています。
お互いに、顔晴れ(がんばれ)!
在宅療養者の外出企画でイオンを利用したときに、専任担当者を置いてくれて特別の配慮をして頂いたという話を身近で聞いたたことがあります。
常に特別とは言いませんが、助けが必要な際に対応できるように、企業として職員教育しているイオンに乾杯です。
イオンの取り組み素晴らしいことだと思います。私の身内も認知症ですが、なかなか出来ることではないですよ。
『認知症サポーター養成講座』の全社展開なんて。各店舗や事業所でもう三千名近い従業員の方が受けられたとか。今後のイオングループに期待してます。
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