俺だって、生きているんだよ
「お父さんは、兄弟を食べさせるために学校を諦めて必死に働いてきたと聞いています」
そう話はじめたのは、純夫さん(仮名)の介護者である奥さんでした。純夫さんの生まれた時代は、兄弟が多いのは珍しくありません。長男として生まれた純夫さんは、特殊な技術者として大型機械のメンテナンスをされてきました。勤勉実直ゆえに、会社の皆さんからの信頼も厚く、頼りにされていたとのこと。
ただ、運動は苦手だったようです。会社の草野球で、どうしてもメンバーが足りなくてお願いされると、断り切れずに参加したようですが、「本当は本でも読んでゆっくり過ごしていたいんだよな」とよく話していたといいます。
奥さんは「この人は、決して私を怒鳴ったりしたことはなく、穏やかに寄り添ってくれた人なんです」「私にも気を遣ってくれて、口癖のように、無理するな、身体を大事にしてくれよなんて言ってくれていたのに。何でこの人がこんな病気になったのか」と、表情を曇らしながら話てくれました。
認知症になっても安心して住める町に
天気の良いある日曜日、デイホームの花壇の草花の手入れをしている時でした。突然後ろから、「今日もいい天気ね」と張りのある元気な声。振り向くと、デイホームのお仲間のハルさんが自転車に乗っていました。
突然変わる「今」をいきる
先日、仕事を終えて家族で書店に出かけました。
平日の夜ですが、時間があるとよく行く場所です。私の目的は、今回から「認知症編」がスタートする『ヘルプマン』。失見当、記憶障害など認知症の症状により、自分がどこにいるのか、何をしているのか、自分がいったい誰なのかわからなくなる不安、混乱。暗い闇の中で突き落とされるかのように、読んでいた私も、何とも言いようのない思いになりました。
そして、デイホームのお仲間きよ子さん(仮名)のことを思い出していました。きよ子さんの現実が「ヘルプマン」に描かれいる、そう感じたからです。
「タイプa!?」のゴールデンウィーク
先日テレビ番組で、人間の行動パターンをとりあげているものがありました。「タイプA」と呼ばれるもの。それを見ていて思わずどっきり。
たしか5つほどの質問項目があり、そのうちいくつか当てはまれば疑わしいというものでしたが、どうも他人事でありません。私が特に自分に当てはまると感じたのは、「同時にいくつものことをやろうとする」「休みの日何もすることがないとぼーっとしてしまう」という項目でした。
そう…私は、やらなくちゃいけないことがいくつも重なると、ストレス?!で空咳がでてくるくせして、気がつくとそんな状況に自分でしている傾向があります。休みの日に遊びにでかけようとするのも、たぶん子どもがいてくれるから。何もすることがないとぼーっとしてしまうか、もしくは何だか落ち着きません。完全なタイプAといえないまでも、どうやら「タイプa」くらいかなと…。
兄の思い、弟の思い
「あの子は兄弟の中で、一番手のかからなかった子なんです」
弟・茂雄さんの昔の様子を思い出しながら話をしてくれた、兄の春男さん。最近、ある相談機関から依頼のあった、茂雄さんの成年後見申し立て事前面接でのことです。
※氏名はいずれも仮名です。