認知症ケアの報告inソウル
先週の6~9日、韓国に行ってきました。
現在私が通う大学院にも、福祉を学び、研究するために来日している韓国か院生が数名います。その方達からもたびたび、韓国の福祉の現状などを聞かせてもらっていて、一度は自分の目でいろいろと見てきたいなと思っていました。それでも、韓国行きはすぐに実行できることではありません。そんな私に、思いがけない依頼が…。
視察先の会談メンバー
国際交流基金主催の平成19年度日韓交流事業「日韓両国の高齢者福祉~映画『折り梅』をめぐる対話~」に、シンポジストの一人として参加させてもらえる機会をいただきました。
話をいただいたのが、開催の20日前。あまりに急な状況に、正直驚きました。日本人(私の)感覚としては、半年から一年ぐらい前から計画していく内容のものと思えたのです。
韓国から来日している院生に私の驚きを伝えると、「別に珍しいことではないですよ」と。「日韓交流という大切な場できちんと役割を果たせるだろうか」という不安を感じつつ、7月から日本でいう介護保険制度が始まる韓国の現状をどうしても自分の目で確かめたいという思いもあって、行かせてもらうことにしました。
韓国側からは、李聖姫(韓国痴呆家族協会代表)と高齢者介護・福祉に携わる専門家2名が参加。日本側からは、映画「折り梅」の監督・松井久子さんに菅原弘子さん(福祉自治体ユニット/NPO法人地域ケア政策ネットワーク事務局長)、小山剛さん(社会福祉法人長岡福祉協会 高齢者総合ケアセンターこぶし園総合施設長)さん、高玉多美子(キャッチボールの会/下関認知症を支える会事務局)、山内孝一郎さん(妙高市企画政策課参事/未来プロジェクト室室長)。私は、地域で認知症ケアを実践しているソーシャルワーカーとして、現在の報告をさせていただきました。
発表する永島(左)
事前に韓国語に翻訳された資料と同時通訳による報告でしたが、会場に集まった韓国の専門職や関心のある一般の方からは、笑いと大きな頷きがありました。「認知症になっても、安心して暮らせる地域を育んでいくこと」に重点をおいた私の地域活動の報告が、果たしてどのように韓国の方達に伝わったのか…?
制度に基づく介護の整備がまさに始まろうとしている韓国では、かつて日本がそうであったように(今もそうかもしれませんが)、施設を整備することに関心が高く、力も多く注がれているようでした。
新しいことが始まるときには、国が違っても変わらない現実がありました。新制度が始まるということで、7年前私たちがそうであったように、韓国の介護現場やその管理者、専門家達も右往左往している状況でした。施設を整備し、サービスを整備することに追われている状況と感じました。しかし近い将来、新たな課題が待っていると思われます。それは今、日本で私たちが直面している課題でもあります。
万国共通の笑顔です
介護保険という制度は、何のために作られたのか。施設であれ、在宅であれ、それぞれの人が、その人らしく生活(いきる)を続けていけるように支援するために、制度は作られる必要があるのでは…。私たちは、制度を活用するためにいきているのではない。いきるために制度が必要なんだ。韓国の地でも、同じようにそう感じてきた私です。
韓国で30年前から開設されている特養の様子は、オンドルという韓国ならではの床暖になっており、しかも、日本でいうユニット型の住環境になっていました。
新制度によるサービスありきに偏らず、「温故知新」という視点でそれぞれの国の良き文化を活かして、生活こと支援が実践されていくことを願わざるにはいられません。
韓国の高齢者はビリヤードが得意
コメント
いつもお世話になっております。さすが、永島さんですね。色々と勉強されて活動していらっしゃる。体の方は、大丈夫でしょうか?
韓国で体験した事や最新の認知症ケアなど機会が、ありましたら教えて下さい。宜しくお願いします。
益々の御活躍を祈っています。
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