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永島徹の「風」の贈り物

認知症の人の生活(いきる)こと支援に向けて その1 ケアの概念を広げよう

 私は現在、認知症ケアを中心に地域福祉活動を展開しています。なぜ認知症ケアなのかを話すと長くなってしまいそうですが、短く言えば「認知症ケアとは、認知症の人の生活(いきる)を支援することであり、そのためには認知症の人へのかかわりだけでなく、その家族や、地域への働きかけが必要不可欠である」と考えているからです(1/21のブログをご参照ください)。

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 ソーシャルワーカーである私は、よくこんな質問をされます。つい先日も「これから認知症ケアに取り組んでいきたいので」とわざわざ遠方から見学にみえた方に、こう聞かれました。
 「永島さんが、(デイホーム風のさんぽ道で)介護されるのですか?」と
 その場合、相手の人は『介護』を、いわゆる三大介護(入浴、食事、排泄の介助)のイメージで話されているのだと思います。もちろん私も、そのような直接的な介護をさせていただくこともあります。ただ私は、『介護(ケア)』というものをもう少し広い視点で考えています。直接的な介護を受けるためだけに、相手の人は生きているわけではありません。生活する(いきる)ために、部分的に直接的な介護が必要なのです。
 たとえば、デイサービス(デイホーム)という場所は、介護を必要とする人が介護を受ける場所だと思いますか…? もし専門職が、その視点だけでかかわってしまっていたら、大切なものを見失ってしまうのではないでしょうか。
 それは、認知症とともに生活する(いきる)人の姿です。デイホーム風のさんぽ道の見学にいらした方のほとんどが、次のように尋ねます。先述の見学者の方も同様でした。
 「みなさん、本当に認知症なんですか?」
 さんぽ道に集うお仲間のみなさんが、訪問者に「立っていたら疲れるから、ここに座りなさいな」と声をかけ、「お客さんにお茶を出してやってよ」とスタッフを促す様子や、活き活きと自分を表現している場面から、そんなふうに感じられたのでしょうか…。
 でもそれは、認知症であるかどうかにかかわらず、その人がもともともっていらした生活(いきる)力です。認知症の症状に隠れて見えにくくなっていた生活力(いきる)力を、自然に発揮できるようにサポートさせていただくことが、私たち専門職の重要な役割であると思います。そのためには、いわゆる三大介護を中心とした直接的なかかわり(狭義のケア)=介護だととらえていた概念を転換していくことが必要です。
 ケアワーカーもソーシャルワーカーも、人の生活(いきる)を支援する専門職は、目の前の現象、状況への対処のみでなく、生活全体をとらえていく視点が必要です。これまでの狭義のケアから、広義のケア(生活全体をとらえて、生活力を発揮することを支援していくかかわり)へと介護の概念を広げて、これからの認知症ケアを考えていきましょう!! というのが、今回のブログでみなさんに伝えたかったことです。


コメント


 生活全体をとらえて、生活力を発揮することを支援していくかかわりが、サービスを利用する身からすると何よりうれしいです。
 障害者支援ではこのことが当然に進められていますが、介護保険のケアマネは『パッケージ売り人』のような気がしてなりません。
 「市役所の、県の研修では…」が先にあり、家族の気持ちを配慮して、何が必要かをきちんとみない人が多く感じます。民間の業者さんでしょうか? お金にならないことは簡単に済ませて知らない顔をしてしまうような対応をする人さえ見受けられます。
 介護の概念を是非アピールしていってください!!(当然、一生懸命な方はたくさんおられます(^^)


投稿者: 白梅 | 2008年02月22日 10:24

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
永島徹
(ながしま とおる)
NPO法人「風の詩」副理事長。社会福祉士、ケアマネジャー。大学卒業後、青森県にて精神科ソーシャルワーカーとして精神障害回復者の社会復帰活動に従事した後、郷里である栃木県へ戻り、特別養護老人ホーム併設の在宅介護支援センターに勤務し、地域の中で生じているさまざまな介護上の諸問題についての相談等に応じる傍ら、ケアマネジャーとして介護サービス利用者がより良い生活を過ごしていけるようにと活動。その後、縦割りではなく複合的な地域福祉の拠点を創ろうという計画で、NPO法人「風の詩」を設立、現在に至る。

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著者:永島徹
定価:¥1,890(税込)
発行:中央法規出版
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