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永島徹の「風」の贈り物

みんなとともに考える時間~家族会や介護関係機関

 先日、地元の佐野市社会福祉協議会が家族の会を応援するかたちで、介護保険の使い勝手に関する研修会を主催しました。
 アドバイザーとして佐野市ケアマネジャー連絡会の理事、包括支援センター所長、市役所介護保険課職員、社協職員、そして家族の会会長が加わり、いま介護をされているご家族の方々と語り合い、この地域に何がいま必要なのか。そして、それぞれができることは何かを熱心に話しました。私はそこに、コーディネーターという立場で参加させていただきました。

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 これまで、家族の会会員同士が話し合う機会はあったようですが、専門職や会員以外の一般介護者の方々が集って語り会うことは、初の試みとのことです。そのため、どのような集いの内容になるかと思いながら、お手伝いさせていただきました。
 すると、限られた2時間という時間では足りないくらい、とても活発で熱心な意見が出ていました。なかでも、山間部の立地条件の厳しさから通院が難しいということでの介護や、いまだに、どこにどのように相談に行ったらよいのか分からないなど、改めて介護保険制度が7年経たいまでも、考えなくてはならないことが山積していると再認識でき、これからもこのような機会を設けながら、前向きな介護生活を営んでいける佐野市という地域を育んでいきたという感想が多く聞かれました。
 研修終了後は、介護者も専門職もお互い顔を見合わせながら連絡先などを確認している様子もあり、こういった集いから生まれる縦・横・斜めのつながりが始まる一場面を見たようです。

 最近では、福祉や介護に関するチラシや広告で「いつまでも自分らしく住み慣れた地域で暮らすために」というような吹き出しが目に入ります。その理想や理念はとても大切です。それでは、どうすれば私たちは、その掲げたものに近づいていけるのでしょうか?
 今回の介護者たちの奮闘ぶりを伺うと、私たち専門職はうっかりすると大切なポイントを忘れてしまっていないかと思いました。それは、介護保険制度など制度に該当している人たちばかりを見つめ過ぎていないかということです。
 もちろん、すぐに必要なサービスを駆使していかなくてはならないという事情もあります。けれども、下手をすると、最初から制度やサービスありきで見ていないかということです。つまり、今起きているその事実はどうして起こってしまったのか。その背景を具体的に察していく過程のなかには、当事者に寄り添う家族や親しい方々の思いがあります。やはり、人は人との関係性なくしては、いまが存在しないのです。
 いまこのブログを読んでくださっている皆さんにも、同じようにこれまでの関係性のなかで生活があると思います。そこを大切に察しながら、私たち専門職は、必要とされる手段として制度やサービスを駆使していくお手伝いが始まります。難しいことではなく、相手を純粋に察し、その後、自分にできることから始めていきたいですね。

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会の様子

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グループに分かれ、介護者と専門職との懇談会

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最後にコメントをする永島


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プロフィール
永島徹
(ながしま とおる)
NPO法人「風の詩」副理事長。社会福祉士、ケアマネジャー。大学卒業後、青森県にて精神科ソーシャルワーカーとして精神障害回復者の社会復帰活動に従事した後、郷里である栃木県へ戻り、特別養護老人ホーム併設の在宅介護支援センターに勤務し、地域の中で生じているさまざまな介護上の諸問題についての相談等に応じる傍ら、ケアマネジャーとして介護サービス利用者がより良い生活を過ごしていけるようにと活動。その後、縦割りではなく複合的な地域福祉の拠点を創ろうという計画で、NPO法人「風の詩」を設立、現在に至る。

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