社会の資源を活かす~風通しの良い福祉現場の実現から~
皆さんは『介護相談員』をご存じですか? 介護施設や在宅で介護サービスを利用している当事者の話し相手になり、いろいろとその方の思いなどを聴き、サービス提供者にとってもより良い関係を構築していくために貢献してくださる方です。
その多くは、施設で暮らされている高齢者の話を伺うことが多いようです。簡単にいえば、施設や介護サービスを利用している高齢者の頼もしい話し相手です。
その『介護相談員』の現任研修のお手伝いで先月、東京に行ってきました。介護相談員の多くは、さまざまな仕事をされていた方です。その中で、「自分に何かできないか」という思いで、相談員になられています。ただ、すぐに相談員になれるわけではなく、非常に内容の濃い研修を受け、現任研修という継続研修を受けて訓練されているのです。
研修で使用されるテキストは、専門職向けとしても遜色ない内容となっています。もちろん、一度ですべて覚えられるわけではありませんが、相談員になられる方はモチベーションが高く、日頃から熱心に勉強をしながら相談にあたっています。また現任研修の内容では、実際に起きた事例をもとグループワークを行います。
その様子が凄い! まず、皆さん必ず自分の意見を話します。しかも、とても積極的な雰囲気です。もちろん、いろいろな個性的な方!?も見受けられます。
専門職の研修でも「声の大きい人の意見が通ってしまう」場面に遭遇したことがあるでしょう。介護相談員の現任研修では、介護相談員としての役割を逸脱する意見が出ると、すかさず他の相談員から「それは、私たちが手を出す行為ではないでしょう。私たちの役割は…」と、自分たちの立場や役割をきっちり修正する作用が働きます。
施設や在宅サービスに従事している専門職の領域に立ち入ることはなく、むしろ専門職が業務で忙しい中、なかなか話し相手をできないない場合の代わりをするばかりか、うっかりすると、表面に出てこない利用者の悩みを伺い、客観的な意見も提供してもらえるという作用があります。
専門職は、「社会資源」を知っているが、分かっていない場合があると思います。実際にかかわってみて、一緒に交えていくことで分かることがたくさんあります。施設や在宅サービス関係者の中では、「えっ? 外部の人がいろいろと入ってくるの」と懸念する方もいるかもしれません。しかし、その方々とこのようなかかわりをもつことは、自分たちの仕事について理解してもらい、より良い現場にしていくヒントとなるでしょう。
また、介護相談員の多くは団塊の世代です。これからの時勢にあった価値観へのかかわり方につながっていくことになります。人とかかわる仕事をしている者は、「出張」として外部に学びの場を求めていきます。それも必要なことですが、逆に、外部からいらしてくれる、トレーニングをされた方々とのかかわりの機会を通して、自らの業務を見直し、現場を今より風通しの良い場にしていく方法もあると思います。
地域とのさまざまな交わりは、気苦労や大変なこともあるでしょうが、できることから少しずつ行っていくことで、新しい発見(気づき)になるでしょう。
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