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永島徹の「風」の贈り物

地域を育む秋~サロンでの介護予防教室~

 ようやく涼しくなってきた秋の夜。私のささやかな楽しみは、「パパ、飲み過ぎちゃだめだよ」という7歳の娘の声を聞きながら、少しだけ焼酎を飲むことです。先日、台風の中仕事で訪ねた沖縄で仕入れてきた泡盛を飲みながら、琉球の風を思い出しています。私の秋の夜のひとときです。
 そして昼間の私は、前回のブログでお伝えしたとおり、「地域を育む秋」を過ごしています。昨日は、市内のサロンの介護予防教室(テーマは認知症予防)でお話しさせていただいてきました。月に1~2回、申し込みのあった町のサロンにうかがっていますが、サロンには地域ごとに異なる雰囲気があり、同じ市内でもさまざまな地域性があることを感じます。そんな地域性を活かしていくことが大切だなと思いながら、毎回お話しさせていただいています。

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 今回うかがったサロンは、佐野市の中でも、隣近所に対する関心の高さが残る地域にありました。介護保険制度が始まり7年が経過した現在でも、「介護は家族や身内でするもの」という考え方が強く残る地域でもあります。
 「○○さんは、今日はどうしたん?」
 「今日は、だんなの薬をもらいに行くんだってさ」
 「それじゃ、(配布資料を)貰ってってやんなよ」
 「△△さんは、最近あんまり出てこないね」
 「膝が痛くて仕方ないんだって」
 など、私の話が始まる前にも、皆さん盛んに地域の仲間の状況確認をされていました。
 そんな地域力に働きかけるように、私は話をすすめていきます。認知症の人の数、認知症の症状、認知症の人の思いなどをお伝えしていく中で、「病気にはなりたくないね」「なりたくてなる人なんていないさ」「もし自分がなったら、どうなるんだろうね」などと声が上がります。「そんなにたくさんの人が認知症になったら、町はどうなっちゃうんだろうね」「町で暮らす年寄りがいなくなっちゃうかもな」という声も出たので、私は「そうならないために、皆さん一人ひとりの力が大切なんです」とお伝えします。
 「認知症になっても誰もが安心して暮らせるまち作り」をすすめていくためには、それぞれの地域で暮らす人の力が重要です。さまざまな地域性の中で、さまざまな価値観をもって生活する(いきる)皆さんに伝えていくのは、容易なことではないでしょう。それでも、ソーシャルワーカーとして私がやり続けていきたいことです。
 地域活動をしていると、実感します。専門職が地域を育むのでなく、育む力(地域力)がそれぞれの地域の中にはあるのだと…。
 それぞれにどんな地域力があるのかをとらえ、その力を活かすサポートをしていくことが、地域の中で活動するソーシャルワーカーの役割の一つなのかなと思います。その具体的な方法をみなさんにお伝えできるように、実践を積み重ね、まとめていきたいと思っています。


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プロフィール
永島徹
(ながしま とおる)
NPO法人「風の詩」副理事長。社会福祉士、ケアマネジャー。大学卒業後、青森県にて精神科ソーシャルワーカーとして精神障害回復者の社会復帰活動に従事した後、郷里である栃木県へ戻り、特別養護老人ホーム併設の在宅介護支援センターに勤務し、地域の中で生じているさまざまな介護上の諸問題についての相談等に応じる傍ら、ケアマネジャーとして介護サービス利用者がより良い生活を過ごしていけるようにと活動。その後、縦割りではなく複合的な地域福祉の拠点を創ろうという計画で、NPO法人「風の詩」を設立、現在に至る。

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著者:永島徹
定価:¥1,890(税込)
発行:中央法規出版
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