地域で育む「なじみ」の関係
私は、地域における独立型社会福祉士事務所というで、数年前から地元行政とともに、ある企画・運営を担ってきました。俗にいう「介護予防事業」で、対象は一般高齢者というのが前提です。
一市二町が合併したばかりでの取り組みは、改めて地域の町内単位の特徴を学ぶ機会になっています。具体的には、中学校地区内の60歳以上の方々を対象に、4つの教室と特別講座を開催してきました。
集まってきてくださる方々は、数名から数十名に及び、中には90歳を超える方もいます。今年もこの企画の準備に追われています。
各町内の窓口になっている方々を訪問していくなかで、地域力の素に触れる機会がありました。実は、この企画を数年間実施してきて、ふっと私自身が自信をなくしていたのです。
「この企画は、本当に参加者にとって有意義な企画になっているのか」
「お付き合いで参加し、本当は面倒なのではないか」
これまでにアンケートをとらせてもらっていましたが、とても好評なご意見ばかりで、逆に不安になっていたのです。この不安は、とあるデイケアを見学したときのレクリエーションの様子を拝見したとき、後ろで会話をしていた利用者2人の話の内容から始まりました。
Aさん(男性) なぁ~○○さんよ、この体操いつまでやってりゃいいんだよ。まいったなぁ~っ
Bさん(女性) 何言ってるんだい。ほら見なよ、若いのが必死にやってるじゃないかい。もう少しだからつきやってやんなよ。はい、いち、にのさっん……
Aさん しゃ~ね~っなっ! ハッ~(脱力感)
一見すると、微笑ましい場面にもみえますが、私たちにとって気をつけなくてはならないのは、この2人の会話を真摯に受け止めることです。ですから、先の委託事業を実施していて私も不安でした。
そんなとき、改めて窓口になっている地域の方々の自宅へ伺い、今回開催する教室のご案内やご意見を聞いてまわったのです。
ある方からは、「あの教室でやったことや学んだことを印刷して、町内に配っているよ。助かってるよ。自信もってやんなさいなっ」。
あるグループのところでは、盛大な拍手で迎えられ、「今年はいつになったら始まるか心配していたよ」等々、数え切れないお言葉をいただきました。
私も至らないことが多々あると思いますが、地域の声を聴かせていただき、地域に身を置きさまざまな方々に支えられている自分の存在を実感しました。そして、これからも「なじみ」の関係を大切に、地域の方々とともに豊かな「なじみ」を育んでいきたいと思います。
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