出会いから奏でる地域ふくし
最近では、一般向けの地域福祉に関する研修会の手伝いが多くなってきました。その中でも関心が高いのは、地域における認知症ケアに関することです。
私はソーシャルワーカーとして、福祉的視点からお話をさせていただきます。先日も、一般向けの認知症ケアに関する講座のお手伝いをしました。その日の講話内容は、「認知症と共に精一杯いきる方やご家族の思いをどう福祉的サイドから考えていくか」ということでした。やや抽象的に思われるでしょうが、認知症ケアについての思いや考えは個人個人さまざまであると思います。その時々の答えは、考えている当事者が出していくことでしょう。
事前に参加者は「一般の方々」と伺っていたので、当事者のご家族の参加者かと思い、講演開始と同時に会場の皆さんへ「ご様子伺い」ということで、問いかけてみます。すると、やはり多くは介護者の方で、「毎日の介護を迷いながらしていて……」と、言葉に表わせない思いが伝わってきました。また、「最近母(父)が、やや物忘れが出てきているのではないかと思い、もしもに備えて学びにきました」という方も多く見られ、認知症に対しての関心の高さがみられます。
そのようなご家族の方々の中に、最近では若い層の方も見られるようになりました。聞けば、現役の専門職ということ。「今日は出張で受講しているのですか?」と伺うと、「いいえ。休みをとってきました。毎日仕事をしていて、今のかかわりかたでよいのだろうか? 他にはどんなかかわり方があるのだろうかなどと、迷ってしまうことが多くて……。だから、このような機会があれば何か参考になればと思い参加しています」。
そんな意見を、先ほどのご家族の方々は「とても熱心な方々がいるのですね。安心します」と受け止められ、参加者同士の相乗効果が生まれてきました。このような作用が地域ふくしには欠かせないことと思います。
どうしても研修となると、専門職と一般を分けていることが多いのです。もちろん、そのような試みは当然必要です。さらに踏み込んで考えていくと、地域の生活は、さまざまな人々の営みです。人々は意識、無意識に互いの関係性の中から各々の地域生活を育んでいきます。この育みは時に激しく、時には心地よいメロディーのように奏でることもあります。私はソーシャルワーカーとして、「地域ふくし」にかかわる中で、この当たり前の思いをともに考え、地域生活に合った色や形にしていけるようにいつも駆けめぐっていたいと思うのです。
さて、今日はどんな出会いがあるのでしょうか。楽しみです。
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